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こんにちは。栗下直也です。『ノンフィクションはこれを読め!2014』が発売されて1ヶ月になりますが、みなさんお買い求めいただけたでしょうか。
レビューはもちろん、注目して頂きたいのがレビュアーのアイコンです。HONZでは顔写真がレビューの横に掲載されていると思いますが、『ノンこれ』ではメンバーの新井文月がそれぞれのレビュアーのイラストを描き、誰がレビューを書いたか分かるように添えられております。
ニューヨークで個展を開く新井ですので、各人の特徴をうまくとらえているなと素人ながらに思うのですが、一部のメンバーに利益給与でも受けているのかと勘ぐりたくなるほど描かれ方に差があるのは気のせいでしょうか。女性陣は叶姉妹もビックリなほどにシワひとつなく、学生メンバーは実物以上に美男美女に描かれております。一方、私は酒瓶を片手に持たされ、編集長の土屋敦はどこの老人かと突っ込みたくなるほどシワシワのヨレヨレで明日にでも絶命しそうな雰囲気です。明らかに異彩を放つこのイラストに果たして新井はどのような気持ちを込めたのでしょうか。
イラストを眺めながら、最近、土屋に会っていないこともあり、「土屋さん、生きているかなー」とふと思ってしまいました。病床の親戚のおじさんを心配する小学生の心境に陥らせる破壊力があのイラストにはあります。恐ろしくて生存確認できない状況が続きましたが、『新刊展望12月号』で東えりかと土屋敦が対談していました。WEB新刊展望というインターネット上のページには二人の顔写真が載っています。シワシワのヨレヨレどころか、年齢を感じさせないツルツルの卵肌です。自分で書いていて、もはや着地点が見えない今週の前文ですが、要するに、本はいろいろな楽しみ方ができるのねと実感した次第でございます。そんな本を探しに、今週もメルマガスタートです。
これからも日は沈み続けるのだろうか。それとも、いったんは没しかけた太陽は自らを大きく変革し再び登るのだろうか。あるいは成熟国家としてあるていどの富をたもちながら退屈ではあるが緩やかで穏やかな社会を長期間にわたり維持し続けるのだろうか。その… more
鰐部 祥平 |
ぬいぐるみ専門の旅行会社、名前は「ウナギトラベル」という。社員たった一人で、持ち主の手を離れたぬいぐるみたちを日本の観光名所のあちこちにお連れし、その様子をネットで見せてくれるという。まさに童話の世界そのままが、科学の進歩で実現したのだ。理… more
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新潮文庫 |
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11月も半ば、事務局向かいの小学校の木々も紅く色づいてきました。「読書の秋」はそろそろ終わりですが、今週もおもしろそうな新刊本が目白押しです。読書の季節はまだまだ続きそうですね。 more
遠藤 陽子 |
青汁は、野菜不足を補うだけですが、ユーグレナには魚の持つDHAやEPAも。
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東京・恵比寿横丁に今や「絶滅危惧種」と呼ばれて久しい「ギター流し」が実在する。
その男の名は――パリなかやま。
ぼくが初めて彼の姿を見たのは数年前のことだった。
噂には聞いていたが、自分と変わらない同年代の男性(30代)が実際に「流し」をしている姿にとてつもない衝撃を受けた。そこから一方的に興味を抱き、恵比寿横丁へ行くたびに話しかけ、マトワリつき、少しずつ仲良くしてもらうようになった。
話を聞けば、パリなかやまさんは以前、日本クラウンから「コーヒーカラー」というユニットでメジャーデビューをしていたプロの歌手で、デビュー曲「人生に乾杯を!」はTVCMで使用されたり、有線上半期ランキングで氷川きよしらを抑えて1位に輝いたこともあるという(作詞・作曲も本人)。
そんな本物のアーティストが恵比寿横丁のような、いわば「酔っ払い天国(巣窟)」で、時に酔客にヤジられ、時にやたらと長い説教をされながら歌を売り歩いている……。その姿を何度も目撃したぼくは「この人は日々、闘っているんだ」と強い感動を覚えた。そして、この人の本――パリなかやまの闘いの書を世に出したいと思った。
パリなかやまの闘いの書は、自伝的なストーリーでいくべきか?
それとも、流しの仕事論でいくべきか?
本の方向性をどちらでいくか、非常に迷った。そんなとき、本書の企画の原点、1本の柱になってくれたのは「恵比寿新聞」の記事「流しのスター パリなかやま」だった。その記事の中で、特に気になった部分を以下に抜粋する。
パリなかやま
よく横丁のワインバーに来てくれていた80歳ぐらいの常連のおばあちゃんがいたのですが、おばあちゃんの若い頃の時代の流しの話をたくさんしていただき「今の時代にこそ流しが必要なのよ」など、色々と教わりました。そのおばあちゃんも去年他界されて、なんだかさみしいですね。僕は歌い続けるしかできないのですが。
「今の時代にこそ流しが必要なのよ」
おばあちゃんが放ったこの言葉には、何かとてつもなく深い意味が隠されているのではないかとぼくは思った。なぜ、おばあちゃんはパリなかやまさんに対して「“今の時代にこそ”流しが必要だ」と言ったのだろうか?
おばあちゃんご本人にその真意を聞くことができれば確実だし、話は早いが、残念ながらもう亡くなられていてこの世にいない――つまり、この問いに 答えは存在しない 。
そこで本書は、おばあちゃんの言葉の真意を探るべく、現代を生きる流しの仕事論を徹底的に掘り下げていくことに決めた。言ってみれば本書は、パリなかやまさんから天国のおばあちゃんへ向けた魂のアンサーソングなのである。
本書の構成は、仕事術を見開き単位で紹介し、左にイラスト(武蔵野美術大学卒の松山ミサさんが担当)、右に文章 + You Tube動画(QRコード)というスタイルで統一している。
今回、特にこだわったのは 「You Tube連動型書籍」 という点だ。「流し」と言われても、見たことも聞いたこともない現代人にはパッとイメージできないと思ったので、全てに動画もつけることにした。その数、約70本(仕事術 + 横丁紹介)。しかも、本書のためだけに、全てオールロケを敢行して撮りおろしている(アホと紙一重である)。
1つ動画を公開。「流しの仕事術 16 接近~放流までのA to Z」
制作には約1年かかり、撮影もアポなし@恵比寿横丁だったので困難を極めたが、文章だけでなく、全てにイラストとYou Tube動画をつけたことで、流しを知らない人、また見たことがない人にもリアルな実感をもって読んでいただける本に仕上がったと思っている。
また、実際にこの本を読んだ友人や知人からは「恵比寿横丁に一度連れて行ってよ!」という連絡がよく来るようになった。本書を読んだら(動画を見たら)、「今度は実物を見たい」と思うこと請け合いである。
さて、話は長くなってしまったが、本書をつくり終えた今、おばあちゃんの「今の時代にこそ流しが必要なのよ」という言葉に対する答え(と思うもの)は見つかったのか? それはぜひ、本書のあとがきや代官山ブックスの本書メイキングブログでご確認いただきたい。
最後に――。
ぼくは、パリなかやまさんは「奇跡の流し」だと思うわけである。数年後か数十年後かわからないが、いつか恵比寿横丁からパリなかやまさんがいなくなる日は必ずやってくる。その後もきっと、また新たな流しの人が入ってくるだろう。
でも……、パリなかやまさんのような人生ドラマ(今後、Webで公開予定)を背負った人は二度と現れないのではないだろうか。最近、恵比寿横丁で「人生に乾杯を!」を歌ってもらいながら、そんなことをぼくはしみじみと考えている。
そう、現代を生きる「絶滅危惧種」奇跡のギター流しに会えるのは「今」しかないのだ。
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