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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは、栗下直也です。自分で書きながら、「このメルマガの前文は一体誰が読んでいるのか」と思い、「まあ、みんなすっ飛ばしているだろう」と開き直って好き勝手にここ数ヶ月書いてきました。HONZの治外法権地帯と化していましたが、最近、旧知の編集者に言われました。
「毎週、送られてくる酒日記、楽しみにしています」

一瞬、困惑を隠せませんでした。一体何を言っているのでしょうか。そんなに僕は、酒のことばかり書いているのでしょうか。蝉の鳴き声が遠のくほど、頭の中で疑問は膨らみ続けました。

その翌日に大変お世話になっている人を介してHONZメルマガを愛読しているらしい初対面の方に会いました。前日の件をこぼしたところ、「えっ、あれ、酒日記でしょ」と言われる始末。「でしょ」じゃねーよ、「でしょ」じゃ。3年間、メルマガ編集長として、有益な書籍情報を配信してきたという自負がぶっ飛びました。

確かに、このメルマガの冒頭の「こんにちは、栗下直也です」はBS-TBSの人気番組の「吉田類の酒場放浪記」の出だしの挨拶である「こんにちは、吉田類です」へのオマージュです。理解しあえるのは類だけだと帰宅後に、缶チューハイ片手に落ち込んで番組のDVDを何気なく見ていたら、冒頭の挨拶が耳に飛び込んできました。「吉田類です」。「こんにちは」がないことを知り、完全に間違った情報が数年間すり込まれているヤバさを痛感しました。

こういうことを500字以上書くことが酒日記呼ばわりされる所以なのですが、全ては『〆切本』(左右社)を読んでしまったからです。『〆切本』のレビューを30日(火)の当番日に書こうと思ったのですが、大作家たちの〆切に間に合わない言い訳を読んでいるうちに、「もう、〆切に間に合わないのは仕方が無いよね。大作家でも間に合わないんだもん。大作家だから守らなくても良いのか。でも、向田邦子は売れる前から〆切が過ぎてから書き出したらしいしな。俺が書かないところで、HONZ編集長の内藤順も怒らないよね」と完全に破綻した理論に自らを納得させ、キンミヤ焼酎に凍ったレモンを投入して自家製レモンサワーを楽しみ始めたら、後は野となれ山となれ。その後もレビューを更新することなく、2日間、私、沈黙しています。

とはいえ、メルマガの前文は白紙で発行するわけにもいかず、重い腰を上げたのが今日の早朝。ガストで唐揚げとビールで周囲の冷たい視線に晒されながら、ここまで何とかたどり着いた次第でございます。ここらへんでピシッと格好良い台詞を吐きたいところですが、無理です。限界です。

今週もメルマガスタートです。

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今週の「読むカモ!」今週のレビュー予定です(変更されることもあります)


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