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みなさん、本ばかり読んでないで世の中の出来事についていけていますか~。こんにちは栗下直也です。
ここ最近、気になったニュースといえば、慶応義塾大学のミスコン中止でしょうか。詳細はわからないのですが、表向きは運営団体の広告学研究会での未成年飲酒行為が原因とか。「他にも大きなニュースがあっただろ」と突っ込まれそうな上、昨日ググったらこんな記事も見つかってしまいました。あまり触れない方がよい空気が漂ってきましたが、慶応義塾大学、飲酒のキーワードがないとこのメルマガの前文が成立しませんので構わずに進みます。「四コマおじさん」ことメルセデス新井にHONZの内部事情はこれから任せることにしましたので、ネタ切れが深刻なのです。勘弁してください。
そんなわけで久々に『福翁自伝』を読み返しました。久々と見栄を張りましたが、実はこれが二回目です。加えて、新刊でも何でもありませんが、あまり難しいことは考えないで行きましょう。
福沢先生は『学問のすすめ』で有名ですが、意外にも客人に酒をすすめまくることでも知られています。原文だとまどろっこしいので『現代語訳 福翁自伝』(ちくま新書)から引用します。
「知る人が来れば、すぐに酒を命じて、客に勧めるよりも主人の方が嬉しがって飲むというようなわけで、朝でも昼でも晩でも時をかまわず、よくも飲みました」
福沢邸に朝から入りびたいのは私だけでしょうか。
福沢先生が筋金入りの酒好きだったことは自伝の他の箇所でも確認できます。未成年のころ、母親に月代をそってもらっていましたが、そられる場所によっては痛くて泣きそうな福沢先生。しかし、「酒を給べさせるから」と母に言われ、お酒飲みたさに我慢していたとか。当時は未成年が公然と飲酒できたとはいえ、ほとんどアルコール依存症じゃないかと思わせるエピソードもサラッと載っけています。
福沢先生の酒量はとてつもなかったようで、「今の大酒家と言っても私より以上の者はまず少ない、高の知れた酒飲みの雑兵だ」となぜかドヤ顔です。自慢するところなのでしょうか。よく身を持ち崩さなかったと思いますが、さすがに1万円札になった人は違います。酒は飲んでも他の遊びには全く興味を示さなかったとか。
その一節がわかるエピソードがあるので、こちらも引用しましょう。原文がネット上に転がっていたので、雰囲気を出すために、そのまま引っ張ってきました。
「殆んど昼夜の区別はない、日が暮れたからと云て寝ようとも思わず頻りに書を読んで居る。読書に草臥れ眠くなって来れば、机の上に突臥して眠るか、或は床の間の床側を枕にして眠るか、遂ぞ本当に蒲団を敷いて夜具を掛けて枕をして寝るなどと云うことは只の一度もしたことがない。」
毎日ガバガバ飲んでいたとのことですから、飲んだ後になんでそんなことが可能なのか謎ですが、よく飲んでよく学んだんでしょう。
とにもかくにも、今回の騒動には、慶応義塾大学とは全く関係ない私も「おまえら、福沢先生の自伝でも読んで学べ!」と言いたいところですが、『福翁自伝』には紹介したような酒にまつわる現代では受け入れがたい話や度が過ぎた悪戯エピソードが多いのも事実。やんちゃな一面が垣間見えるどころか丸見えなので、読解力の低さから曲解する輩があらわれ、自伝のすすめは逆効果になる懸念があります。
そんな『福翁自伝』、興味がわきましたか?今のタイミングでなければ読む機会もないでしょうから、未読の方は是非ご一読を。今週もメルマガスタートです。
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