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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは。栗下直也です。最近、メルマガの前文が雑すぎるとの指摘を某筋からいただき、数少ない前文読者を失うのではと眠れない一週間を過ごしていました。ここ数週間は幼少時代の私のアイドル、元野球選手の清原氏の逮捕に動揺してしまい、メルマガどころではなかったのであります。申し訳ありませんでした。

清原騒動といえば、「俺の情報網からXデーは 近いよとは聞いてたけど」と発言して、久々に注目を集めたのが愛甲猛氏です。かつての甲子園のアイドルでプロになり、ロッテなどで活躍しましたが、愛甲氏の著作には野球選手の自伝として珠玉の作品『球界の野良犬』があります。この本、発刊直後には今回の清原事件並に球界に激震が走りました。私もこの本を手に取り腰を抜かしました。

何に驚いたかって、まず、表紙。本人がスーツ姿でバットを担いでいます。強面も手伝い、元野球選手というより、本職の人が抗争に駆り出されているようにしか見えません。Vシネマからオファーがきたのも納得の風貌でございます。

球界の野良犬 (宝島SUGOI文庫)
作者:愛甲 猛
出版社:宝島社
発売日:2011-01-12
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帯には「暴走族、アンパン、失踪、暴力、野球賭博、筋肉増強剤」。野球と全く関係ない言葉が並ぶびます。頁をめくっても、「ケンカ、ドラッグ、ギャンブル、そしてドーピング。全てが野球の肥やしになると信じて、やりたいことをやってきた」。どこまで行っても野球にからみません。「絶対に肥やしにならねーだろ」って野暮な突っ込みをいれたら、担いだバッドをフルスイングされかねない展開が永遠に続きます。もはや野球の本ではありません。野球に対する意識の高さは垣間見えるものの、努力のベクトルが完全に違う方向に行っています。約20年のプロ生活を送れたのは天性の素質なのでしょうか。

私、この本が大好きなんですが、整理整頓ができないのか、自宅に1冊(文庫本)、実家に2冊(単行本)所有しています。さすがに3冊は要らないので、フルイチオンラインさんあたりで高値で買い取ってもらえないでしょうか。フルイチオンラインさんではHONZおすすめ本を2倍で買い取るという正気とは思えないキャンペーンを未だに展開中です。このほど、買い取りリストも更新されたようです。担当者のM崎さん、是非、『球界の野良犬』もよろしくお願いします。職権濫用しながら、今週もメルマガスタートです。 

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今週の「読むカモ!」今週のレビュー予定です(変更されることもあります)


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