
佐藤 瑛人
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残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』
英語力だけでは、グローバル化の時代を生き残るには足りない。英語については音声通訳などの技術がいつか補ってくれるかも知れないが、異文化理解力はそうはいかないのだ。だからこそ、単なる英語よりもこの本の方が、多くの人にとって役に立つだろう。…more
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科学は生死の境界線を動かし続ける『人はいかにして蘇るようになったのか』
蘇生科学の発展は、死が0次元の瞬間ではなく、時間軸上の長さをもったプロセスであることを示唆している。「死んでいる最中」という状況が存在するというわけだ。そしてそのプロセスは可逆的ですらある。…more
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周到に計算された「狂人国家」というブランディング戦略 『北朝鮮の核心』
2015年08月20日本書の序章には「驚異的な理性の国」というタイトルが付いている。もちろん北朝鮮のことだ。資源もなく、経済は死に体、時代遅れのスターリン主義と君主制を貫き、核兵器を積極的に威嚇手段として用いるその様は、周辺国の人々から「理解不能な狂人国家」と思わ……more
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科学の最重要未解決問題『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』
2015年06月08日科学における最重要未解決問題の一つである意識の謎に果敢に立ち向かい、現状ただ一つの有望な予想と目されている「統合情報理論」を打ち立てたのがイタリア人の神経科学者であるジュリオ・トノーニだ。そのトノーニの著作がこうして初めて日本語で読めるように……more
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中国権力中枢の最深部に迫る『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』
2015年05月19日これは凄い本だ。大手新聞紙の発行部数が下落し始めて久しいが、本書で描かれるような記者の情報収集能力の高さを目の当たりにすると、新聞社というシステムが持つリソースの潤沢さを思い知らされる。著者は朝日新聞の北京特派員として、6年弱にわたって中国報……more
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『私は中国の指導者の通訳だった』日中友好に奔走した対日工作員 最後の証言
中国に関する書籍は数あれど、本書は出版までの経緯からしてユニークだ。テーマは戦後の日中関係についてであり、中国人の著者が中国人の読者を想定して書いたものである。だが守秘義務の関係で何度も検閲が入り、香港を除き未だ中国本土では発売されていないと……more
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『気候カジノ』気候変動を経済学から考える
2015年04月30日地球温暖化あるいは気候変動。日々ニュースを騒がせるトピックであり、関連する書籍もたくさん出版されているにも関わらず、これほど良書に巡り会うのが難しい分野も珍しい。それは気候変動について書かれた本の多くが、仮説検証を繰り返して論理の精度を高める……more