
冬木 糸一
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認知科学の観点から考えた最適の英語学習法──『英語独習法』
2021年01月25日このシンプルなタイトルの本『英語独習法』は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみによる、認知科学の観点から考えた最強の英語学習について書かれた一冊である。『「わかりやすく教えれば、教えた内容が学び手の脳に移植されて定着する」という考えは……more
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カエサルの最後の息に含まれた分子を我々は一日に何回吸い込んでいるのか?──『空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか』
2021年01月05日この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフィクションである。…more
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自分たちのあとに来る時代や存在に何を遺せばよいかを、地下を通して考える──『アンダーランド──記憶、隠喩、禁忌の地下空間』
2020年11月25日この『アンダーランド』は、山岳の歴史語りや大自然を相手にした旅行記に定評のある、イギリス作家ロバート・マクファーレンによる、地下で人間が行っていることと、それを通して悠久の時間スケールから地球と人類と捉えなおす、一種の紀行文学である。…more
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SNSの誤情報ばらまき・意図的な操作にどう立ち向かうのか──『操作される現実―VR・合成音声・ディープフェイクが生む虚構のプロパガンダ』
2020年11月05日本書『操作される現実』は、そうしたコンピュータ・プロパガンダについて大きく話題になりはじめた2016年の米大統領線以前、2012年とかなり初期の頃から研究を重ねてきた専門家のサミュエル・ウーリーによる、2020年の1月に刊行されたばかりの最新……more
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進化の実験場たる都市──『都市で進化する生物たち: ”ダーウィン”が街にやってくる』
2020年08月27日通常、都市というのは人間以外の生物にとって一般的に良い環境とは思われていないだろう。緑や自然を切り開き、種の多様性を減少させる、必要悪的な存在である。野生の生き物たちの居場所は、都市から離れた自然豊かな世界中にあるのであって、都市ではない。……more
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『ピダハン』の著者による、言語獲得&形成の進化史──『言語の起源 人類の最も偉大な発明』
2020年08月05日言語はいつ生まれたのか。 この問いに何万何千年前のある瞬間──というわかりやすい答えがあるわけではない。そのうえ、音声記録など残っているはずもないから、遺跡や痕跡からその地点を確定させることも難しい。いまだに、人類史のどのタイミングで言……more
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VRの父と呼ばれるジャロン・ラニアーによる、激動の半生とVRについて──『万物創生をはじめよう──私的VR事始』
この『万物創生をはじめよう』は、最初期のVR技術の探求、起業者であり、VRの父と呼ばれる(バーチャルリアリティという言葉の発案者でもある)ジャロン・ラニアーによる自伝的な一冊である。幼少期からはじまり、VRとは何なのか、どこを目指すことが可……more
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認知症患者の視点から見た世界──『今日のわたしは、だれ?』
2020年05月25日認知症患者がどのようなことに困っていて、彼らはいったいどのような世界を見ているのか。何をしてもらったら嬉しくて、何が悲しいのかといった彼らから見えている世界。そして、認知症はただ喪失の過程であるだけではなく、楽しいことも楽しめることもまだまだ……more
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科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』
2020年03月05日この『世界を変えた150の科学の本』は、科学の歴史上重要とみられるサイエンスノンフィクション(か、またはそれに類する論文など)を150冊以上紹介した本になる。本自体は270ページだが、大判のフルカラーの本で、150冊の本の中身だったり図版だっ……more
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再生可能エネルギーを前提としたインフラへと大転換するための道筋を示した一冊──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』
2020年02月25日『第三次産業革命』、『限界費用ゼロ社会』などの著作でこれから先のエネルギー源、都市インフラについて一貫した提言を行ってきたジェレミー・リフキンによるこの最新作は、副題にも入っている通り、化石燃料文明の崩壊に備えて再生可能エネルギーを主軸にした……more
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年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』
2020年02月05日幸福とは何なのだろうか。ほしかったものを手に入れた時、おいしいものを食べた時、僕は幸福を感じるが、どれほどの幸せでもすぐに慣れてしまうのはなぜなのか。年収の高い人は低い人よりも幸せなのか。幸福感と生活の質はどの程度関係しているのか、我々は自分……more
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麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』
2019年12月25日本書『意識と感覚のない世界』は三〇年以上麻酔科医としての経験を重ね、時に七〇〇グラムの未熟児から、時には人間ではないゴリラまで、幅広い存在に対して麻酔を施してきた著者ヘンリー・ジェイ・プリスビローによる、自身の仕事についてのエッセイである。…more
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持続可能なコーヒー栽培を目指して──『世界からコーヒーがなくなるまえに』
2019年11月25日コーヒーを日常的に飲む国が増えたこともあって、世界のコーヒー需要は年々あがっている。 一方で、大量生産と安価な供給を目指し大規模に工業化されたコーヒーの栽培、育成が大地に与える悪影響。また、全世界的な気候変動が伴って㉚年後には今のように……more
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ジャレド・ダイアモンドが導き出す、危機の枠組み──『危機と人類』
2019年11月08日『銃・病原菌・鉄』で一世を風靡したジャレド・ダイアモンドの最新刊がこの『危機と人類』である。主に七カ国を対象として、それぞれの国が陥ってきた危機と、それをどのようにして乗り越えてきたのか。また、今現在まさに危機にある国を取り上げ、比較しながら……more
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均衡としての汚職──『コラプション:なぜ汚職は起こるのか』
2019年10月25日本書の中で取り上げられていく話題としては、たとえば、民主主義精度の国と専制主義の国では、汚職の割合が高いのどちらか? 公務員の給料をあげれば、汚職の割合は減るか? そもそも汚職が国に存在することは、本当に国家、国民にとってよくないことなのか?……more