
高村 和久
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『第二の地球を探せ!』 数十光年の空を超えて
2014年10月29日本書は、『第二の地球』を探し、宇宙に生命を求める研究の最前線が紹介されている本である。ほんの20年ほど前には、木星のような大きな惑星ですら太陽系外では発見されていなかった。太陽以外の恒星のまわりを周回する惑星が初めて実際に観測されたのは199……more
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『フライターグ』 オンリーワンのカバン作り
2014年10月09日本書はフライターグ兄弟が作ったスイスのバッグメーカー「フライターグ(FREITAG)」に迫った本だ。著者のレテーナ・メンツィはチューリヒ・デザイン・ミュージアムのキュレーターであり、チューリヒ工科大学(ETH)のビジュアルデザイン学部の講師も……more
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『逆転!』 非常識と逆境、もしくは不幸
2014年09月29日俺は逆転したいだろうか? 『逆転!』という題名、「弱者の兵法」と書かれたオビを見て思った。自己申告で、どちらかと言えば弱者。勝ちたいかと言われれば、そりゃ勝ちたい。くらいか。原書の題名は、"David and Goliath"だ。ゴリア……more
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『考えるカラス』 もやもやするサイエンス
2014年09月09日私は、少なくとも半分は間違えた。正確に何個かは、数えないこととしたい。 まちがえたのは、本書で紹介されている自分でも試せそうな実験が「どんな結果になるか」だ。…more
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『意識をめぐる冒険』 我々はどこから来たのか
2014年08月29日本書は「主観的な感覚や意識はどこから生じてくるのか?」という問いに関する最新の研究成果が紹介された一冊だ。意識の研究ほど、広く根源的なテーマはない。私が死んだら、私の意識はどうなるのだろうか?犬には意識があるだろうか?コンピューターが人間と同……more
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『東京大学の学術遺産 君拾帖』 幕末・明治・大正のスクラップ
2014年07月29日東京大学総合図書館にある、96冊の『君拾帖』。普段は地下書庫に仕舞われており、「貴重書閲覧室」でしか見られないこのシリーズを、画文家のモリナガ・ヨウさんが写真とイラスト・文章で紹介したのが本書だ。…more
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『愛を科学で測った男』 愛情と孤独のあいだ
本書は、サルによる実験を通じて「愛情」の研究を行ったハリー・ハーロウ教授の伝記である。 著者は、「霊長類を動物実験として用いることについての倫理問題」を論じた連載でピュリッツアー賞を受賞し、当初はハーロウ教授が行った実験について批判的であっ……more
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『ラインズ』 迷わず行けよ、その線を
2014年06月09日“ライン”には色々な意味がある。時間的なライン(物語・生命)があり、空間的なライン(線・境界)があり、両方が混ざり合ったライン(軌跡)がある。物質的なライン(糸・跡)もある。先祖を示すラインもある。 社会人類学者である著者は、本書において「……more
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『同期する世界』 ここにも あそこにも
2014年05月29日複数の振り子時計を並べると、“振り子”同士が申し合わせたかの様に歩調を合わせるようになる。「ホイヘンスの原理」である。 1665年の冬、ホイヘンスが体調が悪く自宅に引きこもっていた時に発見されたというのが心強い。 振り子はいいなあ仲間がい……more
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『海洋堂創世記』 きらめくモノ作り生活
2014年05月09日ガレージキットとは、大手の会社ではなく、個人が、自分で作った「原型」を元にして作った組み立てキット、いわばインディーズのプラモデルのことだ。大阪在住の川口さんが、仕事(歯科技工士)のスキルを趣味に活かしたことが嚆矢となった。シリコンとレジンを……more
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『ブラジルの環境都市を創った日本人』 まかせとき、まかせとき
2014年04月09日世界三大瀑布の1つ、イグアス滝。それをブラジル側から擁するパラナ州の州都、標高900mの高原に位置する人口180万人の都市クリチバは、都市計画の成功例として世界的に有名な街だ。先導した市長のレルネルは1971年の就任当時33歳、市のマスタープ……more
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『世界を動かす消費者たち』 10兆ドルの新市場
2014年02月19日本書は、中国とインドに出現しつつある巨大な消費者層についての本だ。個人的には「消費者」という単語に「働く人」の対極のような印象を持っていたが、今回改めて、夕飯の買出しに来た人は働いていないのか、などと考えていたら怪しくなった。「…more
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『脳のワーキングメモリを鍛える! 』 前頭葉のフィットネス
本書には、脳の「ワーキングメモリ」がいかに重要な機能か、さらに、どうすればそのワーキングメモリを強化するできるかが記されている。著者はノースフロリダ大学の心理学教授で、以前はスターリング大学生涯記憶・学習センターの所長だった人である。表示に書……more
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『サードプレイス』 行きつけの○○
2014年01月09日とびきり居心地よい場所(The Great Good Place)。家、仕事場に次ぐ、ふらりと立ち寄ることが出来る第3の場所(The Third Place)。本書が取り上げるのは、そのような場所だ。 …more