
塩田 春香
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奇跡の自然に行ってみた!『「奇跡の自然」の守りかた――三浦半島・小網代の谷から』前編
2016年06月01日「地域の自然保護」という決して派手ではないテーマにもかかわらず、なんと刊行からわずか10日で重版!したそうなのです。ビジネスとサイエンスが融合した新しい自然保護のあり方を示す内容も素晴らしいのですが、きっと小網代そのものの魅力も読者をひきつけ……more
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地に足つけて生きていますか?『パイヌカジ 小さな鳩間島の豊かな暮らし』
2016年05月24日海からの涼しい風に吹かれ、波の音を聞き、西表島の明かりを見ながら、われわれは毎晩遅くまでビールと泡盛を飲んだ。なにしろ休憩所の三メートル先はもう海なので、釣竿を投げて護岸に立てかけておけば、酒を飲みながら魚を釣ることができた。 「おい、早く……more
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わたしも、ひとりではない。『死者が立ち止まる場所 日本人の死生観』時計が再び動き出すとき
本書は、大切な人を亡くした喪失感から少しずつ心が蘇生してゆく記録であり、優れた紀行文であり、内から外から日本を見つめた文化論でもある。青森のねぶた祭りや松島の灯籠流しの情景描写は、かのラフカディオ・ハーン(小泉八雲:1850-1904)の随筆……more
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命をかけた冒険の果てに、何が見えるか『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』
2016年02月01日数多くの探検家たちが魅了され、挑み、跳ね返され、そして時に命を落とした伝説的秘境、ツアンポー峡谷。アジア有数の大河・ツアンポー川は、ヒマラヤ山脈東端で大きな山に挟まれて屈曲する。その峡谷には人跡未踏の地理的空白部があった。それが本書のタイトル……more
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『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』これ以上ありえない冒険なんて、ありえない! 絶対にっ!
2015年11月12日ジャングルで出会った、みぞおちに大きな傷のあるおじいちゃん。昔の戦で矢が刺さった痕だという。その当時の戦では、逃げ遅れた者は敵に殺されて食べられた。ということは、彼らはいわゆる「人食い部族」!「人間のどこがおいしかったんですが」と聞くと「くち……more
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家の前に大きなピレネー犬が倒れていた! さあどうする?『その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』
朝、会社に行こうと玄関のドアを開けたら、大きなピレネー犬が倒れていた。大変だ、病院に運ばなきゃ! でも、こんな大型犬、どうやって持てばいいの?? 大ピーンチ!! そんなときでも、この本さえあれば、もう大丈夫。 本書は身近なペットから危険生物……more
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『慟哭の谷――北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件』惨劇から100年
2015年08月10日人々を恐怖のどん底にたたき落したのは、体重300キロをゆうに超す巨大な人喰い羆であった。本書は営林署に勤務していた著者が、生存者や遺族、討伐隊に参加した人たちから入念な聞き取り調査を行った記録である。本書の内容は、吉村昭によって『熊嵐』として……more
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リアル怪談をあなたに『山怪――山人が語る不思議な話』現代版・遠野物語に戦慄!
2015年07月03日山には今も、「平地人を戦慄」させる「怪」が存在している! 長年、マタギなど山で狩猟生活をする人たちの取材を続けてきた著者は、「火の玉を見た」「あれは狐に化かされたんだろう」といった不思議な話を、あちこちで耳にする。いわゆる「オチなし」で民話の……more
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おもしろいだけじゃ、ダメですか?『ヘンな論文』
2015年06月11日本書では、「論文」というお堅い響きからかけ離れた、研究の中身が突き抜けた珍論文ばかりが紹介されている。これが笑いあり感動あり悲しみあり。論文がこんなに人間臭いものだとは!と、びっくりしてしまう。著者はお笑いコンビ「米粒写経」のツッコミ役、サン……more
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嵐の時代が生んだ、奇跡の人間賛歌『園芸家の一年』
2015年04月01日反ファシズム的作品を多く発表していたカレルは脅迫を受けながらも祖国で生きる道を選び、亡命しなかった。そして世を去った翌年、ナチス・ドイツ軍がチェコを占領。その死を知らないゲシュタポは、逮捕するためにカレル邸に押し入った。…more
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『原発事故で、生きものたちに何がおこったか。』もしこの変化が、序章にすぎないとしたら……
2015年02月25日本を開いて最初に目に飛び込んでくるのは、「春うららか」という言葉がぴったりな、里山の写真である。新緑のやさしい黄緑色が木々の枝先をつつみ、ヤマザクラの花が咲き、ふんわりとやわらかい日差しが森を包む。今にもウグイスのさえずりが聞こえてきそうだ。……more
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何が生死を分けたのか? 日本に住むなら知っておきたい『ドキュメント御嶽山大噴火』
2015年01月23日今回の噴火は、死者57人、行方不明者6人、負傷者69人という大惨事になってしまった。亡くなった方のうち55人が、噴石が当たったことによる損傷死。噴石の速度は時速300㎞にも達し、大きなものは軽トラックほどの大きさがあったというから、当たればひ……more
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虫のように生きられたら、きっと人生は素晴らしい『熊田千佳慕のハイカラ人生記』
2014年11月11日「わたしもカブトムシの幼虫になりたい!」 ある展覧会でその絵を見たとき、心からそう思った。気の遠くなるような無数の点描で描き込まれた、ふかふかの土のベッド。そこにくるまって休む、小さな生き物たち。こんな場所で冬を越せたら、どんなに幸せだろう。……more
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激ウマ&激マズ。へんてこ生物、捕獲せよ! 笑って、喰らって、ためになる『外来魚のレシピ』
2014年10月22日いきなりこんな写真でスミマセン。このワイルドな料理は、「アリゲーターガーの丸焼き」。アリゲーターガーは「顔はワニ、味はトリ」という、北米および中米原産の魚である。いかにも異国情緒漂わせまくりのこの魚が、じつは今、東京や横浜の川にもバッチリ生息……more
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【連載】小林凛くんと国立科学博物館に行く!③
2014年09月19日苦しいときも、凛くんには俳句があった。わたしには、何があるだろう? わからないけれど、なんの取り柄もないいじめられっ子だった自分でも、大人になったいま友達には恵まれていると心から言える。子どもの頃には、友達に囲まれて笑っている自分なんて想像も……more