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『アルツハイマー征服』連帯が連帯を生む、絶望の中の希望の物語
2021年02月06日現在、全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しんでいるアルツハイマー病は、完全に治す方法がないことで知られている。高齢化が進む日本で、今後アルツハイマー病による認知症がさまざまな課題を発生させていくことは想像に難くない。しかしこの病に関す……more
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子はみな幸せであるように『「ちがい」がある子とその親の物語Ⅰ』『こどもホスピスの奇跡』『にほんでいきる』
2021年02月03日国籍や肌の色、病気や障害などに関わらず子どもは幸せになって欲しい。その願いを込めた本を3冊紹介したい。…more
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たまに死者も出る、この特殊な趣味の行方は……?『こいわずらわしい』
「楽しくて読みやすいなあ~」と、のほほんと読み進めていると、突然鋭く心をぶっ刺してくる油断のならなさ。おもむろに登場するマイナー生物の生態。中毒性があるその筆致に、彼女の新刊が出たとなれば、それが恋愛コラムだろうが通販カタログだろうが、もう読……more
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『スケール 生命、都市、経済をめぐる普遍的法則』
2021年01月31日「ものさし」は人類が発明した偉大な道具の一つである。他人に時間や長さや大きさを伝えたいとき、ものさしで測って数字で言えば、誰もが正確に情報を共有できる。そして本書『スケール』は全ての現象を説明するものさし(尺度)の話である。 著者は英国……more
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こんなに違う、日米医学事情『医療現場は地獄の戦場だった』
2021年01月30日ハーバードメディカルスクール第二の教育病院、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院に勤める大石啓医師。大石医師は、いかにして米国で医師になったか。そして、その目を通して見た日米の医学教育、そして医療の違い。一長一短だけれども、米国の方がわかりやすい……more
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『羊の人類史』文化や貿易、軍事まで 羊は世界を変え続けた
2021年01月30日羊といえば、なにを思い浮かべるだろうか。私の場合は、チェスターコートやメリノウールのセーターなど、ふだん愛用している衣類だ。浅はかながら、それ以外に思いつくことがなかった。本書では、羊と人間との思いもよらぬ関係が語りつくされている。文化、貿易……more
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まるでホラー映画みたい『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』
2021年01月29日この本はある意味でホラーである。もし自分の彼女や親しい友人がマルチ商法にハマったとき、周りの人間はこんなにも無力なものなのだろうか?マルチ商法にハマるのなんて情弱!自業自得だよね。みたいな認識が自分にもあったけれど、この本を読んでからは、その……more
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『黒魔術がひそむ国 ミャンマー政治の舞台裏』呪術合戦は、安倍晴明と蘆屋道満の戦いさながら!
ヤンゴンに新聞記者として駐在していた著者は、情報省の中堅幹部との会談で「テインセン大統領の誕生日を確認できない」と愚痴をもらした。答えは「国家指導者はアウラーンを恐れているから決して生年月日を明かさない」というものだ。ビルマ語のアウラーンとは……more
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ギネスに届け!爆笑『明石家さんまヒストリー1、1955~1981 「明石家さんま」の誕生 』
2021年01月27日タモリ、たけしとならびお笑いビッグ3と称される明石家さんま。その長大な伝記の第一巻である。奈良で育った杉本高文がお笑いに目覚め、笑福亭松之助に弟子入りして明石家さんまとなり、「おれたちひょうきん族」に出るまでの物語。膨大なインタビューが爆笑を……more
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『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』
2021年01月27日森本あんり氏は神学者で、その研究内容は必ずしも一般向けとは言えない。著作で扱っているのも、キリスト教の教義論争がメインコンテンツだ。なのに、その内容は、いつも同時代の問題意識にぴったりとシンクロしている。『反知性主義』しかり、『異端の時代』し……more
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『社会問題とは何か なぜ、どのように生じ、なくなるのか?』こんなを教科書を10代の頃に読みたかった!
いくつかの出版社から社会問題についての本を書いてほしいと依頼されていた著者は、いつもお決まりの文句で断っていたそうだ。「私が書きたい本は、あなたが出版したい本ではありません。それに私は、あなたが出版したいような本は書きたくないのです」…more
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アメリカ発「私たち」のムーブメントが時代を変える『Weの市民革命』
2021年01月26日アメリカは巨大な国だ。陰謀論者や科学を信じない人は日本にもいるが、その層の厚さは日本の比ではないだろう。連邦議事堂襲撃事件で私たちが目にしたのは、そうした人々のほんの一部に過ぎない。だが、愚かな連中が存在を誇示すればするほど、反対側から異議を……more
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認知科学の観点から考えた最適の英語学習法──『英語独習法』
2021年01月25日このシンプルなタイトルの本『英語独習法』は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみによる、認知科学の観点から考えた最強の英語学習について書かれた一冊である。『「わかりやすく教えれば、教えた内容が学び手の脳に移植されて定着する」という考えは……more
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日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』
日本でもオーロラが見えていたことをご存じだろうか。しかも、直近では昭和33年、約60年前で、これは写真での記録もバッチリあるという。…more
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『もしわたしが「株式会社流山市」の人事部長だったら』二児の母の小さな挑戦が、まちを大きく変えるまで
2021年01月23日本書の著者も結婚を機に流山市に移り住んだ一人だ。移住してしばらくはビジネスパーソンとして忙しい毎日を送っていたが、第一子の出産後育児休業に入ったのをきっかけに、地域が抱える課題にも関心を持つようになった。そしてある日、ふと妄想を抱く。その妄想……more
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152020年 今年の一冊