事件・事故
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『裁判百年史ものがたり』 日本をつくった12の事件
2012年10月22日1891年5月11日、2週間前に長崎港から来日したロシア皇太子のニコライは、鹿児島、神戸、京都を経て大津にやって来た。昼食をすませた彼は心地よく人力車に揺られながら、今夜の芸妓との楽しい時間に想いをめぐらしていた。少しずつ、だが確実に、死の危……more
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『ガレキ』 思い出の別名
2012年10月19日私が東京で暮らし始めたのは予備校の寮に入った時で、服が詰まった大きなバッグ1つでやってきて、机とベッドが置かれた小さい部屋に入った(本は郵送だ)。あれから何年も、いや何十年も経ったけれど、この前あの建物がなくなったと聞いた時、やっぱりちょっと……more
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『恵庭OL殺人事件:こうして「犯人」は作られた』 新刊超速レビュー
2012年10月11日街中で少しでも時間があると本屋さんに入ってみる。出張で札幌に行った時、地元ならではの本はないかと入った書店で偶然に見つけたのがこの本である。そんな状況で掘り出した本なので、「新刊超速」というには恥ずかしいタイミングになっていることはお許しいた……more
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『ネゴシエイター』親族が誘拐されたらどうしますか?
2012年10月05日著者は誘拐犯や人質立てこもりの犯罪者との交渉を担当するプロフェッショナル、通称「交渉人」(ネゴシエイター)。本書は、彼がこれまでに担当してきた事件の中身を綴ったノンフィクションである。事実は小説より奇なり、とはこのことのだろう。これまで交渉人……more
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『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』および夢中で本を読むことの危険について
2012年08月23日昨日、ビジネスHONZの合格者、すなわち新しく迎える仲間へのオリエンテーションがあった。鰐部祥平さんは残念ながら都合がつかなかったが、深津晋一郎さんと田中大輔さんが参加。オリエンテーションといっても、要するに飲み会で、結局本の話題を中心に、昔……more
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獄中の老スナイパー 『警察庁長官を撃った男』 新刊超速レビュー
2012年07月05日驚愕の一冊である。老スナイパーの名は中村泰(ひろし)。1930年生まれのこの男、岐阜刑務所に服役中。しかし、この本のタイトルになっている1995年の国松警察庁長官狙撃事件による服役ではない。その罪状で訴追され、「救国」のために狙撃したことを世……more
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『完全自殺マニア』 新刊超速レビュー
2012年06月28日非常に書評しにくい本である。編集者はHONZの身内とも言って良いハマザキカクだ。本人からの献本でもある。テーマがテーマだ。しかも「まえがき」では「本書の目的」は「本書では自殺について『問題』として『現象』としてとらえている」と宣言しているよう……more
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『わたしが出会った殺人者たち』 新刊超速レビュー
2012年06月26日二日連続で、殺人者本のレビューである。しかし、この本、すこしも「超速」レビューになっていないのである。すみません。遅れたのにはいささかの理由がある。以前、沢木耕太郎訳、というのにつられて、『殺人者たちの午後』という本を買った。英国での殺人者た……more
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”史上最強の女犯罪者” 『別海から来た女』
2012年06月25日「これは、私の書いた『東電OL殺人事件』を超える事件だ」と帯に書く佐野眞一、怒りに燃えた渾身の一冊である。その怒りが読む側にもひしひしと伝わってくる、死刑判決も記憶に新しい「首都圏連続不審死事件」、毒婦・木嶋佳苗についての本である。ワイドショ……more
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『毒婦。』美人は三日で飽きる
2012年05月10日先日、好評を博したHONZ内藤の活動期をぼけーと読んでいたら「栗下直也が真面目な本ばかり取り上げていたら、病気の可能性も否定はできない」と書かれていた。考えてみれば、最近、変な意味でなく、びんびんに元気なので直近の自分のレビューを振り返ってみ……more
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『悪魔のささやき「オレオレ、オレ」』 新刊超速レビュー
2012年05月01日Facebookなどを眺めていると、定期的にスパムアプリらしきものを見かけることがある。今でこそ簡単に引っかかる人も少なくなってきたが、最初のころは友人達が軒並み引っかかっているのを見て戦慄に近いものを覚えた。人間関係を利用した手法がいかに強……more
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『IT時代の震災と核被害』
2012年04月07日あれからもう1年たってしまった。日本各所で犠牲者に対する鎮魂とともに、政府や東電の責任、原発の再稼働問題、復興の実態などについての議論が延々とつづいている。しかし、その多くの議論は賛否それぞれの立場に分かれ、議論することを目的としてしまってい……more
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『アフター・ザ・レッド 連合赤軍 兵士たちの40年』 彼らは今何を思うのか。
2012年03月16日HONZは概ね3つの世代で構成されている。代表・成毛や私、麻木久仁子、今後ちょくちょく登場するだろう阪大・仲野先生などの50代。サラリーマンメンバーはだいたい30代。そして20歳前後の学生メンバーたちである。定例会でも、それぞれの世代でしか通……more