事件・事故
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『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか?
2018年01月15日『北朝鮮 核の資金源 「国連捜査」秘録』は、国連制裁の最前線で何が起きているかを当事者が初めて白日の下にさらした貴重な一冊だ。本書を読んで北朝鮮問題についていかに上っ面の知識しか持っていなかったかを痛感した。ここに書かれていることは、日本で暮……more
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『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた
今年もたくさんの新しい本と出会い、様々な刺激をもらってきた。だが今年読んだ本の中で、最も印象に残ったものを挙げよと言われれば、それは「再会」した一冊になる。それが本書『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』だ。 事件の詳細に関する記述……more
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『レッド・プラトーン 14時間の死闘』耳をつんざく砲弾の音、着弾時の振動、立ち込める煙
2017年11月24日本書は欠陥だらけの前哨・キーティングが、2009年10月3日の早朝、タリバンの総攻撃を受けてからの14時間の出来事を、分単位、ときに秒単位で克明に記述したものだ。レッド小隊のチームリーダーの一人だった作者のクリントン・ロメシャが、退役後、生き……more
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『全員死刑』父も母も兄も弟も死刑確定
2017年11月10日2010年11月に刊行された『我が一家全員死刑』(コアマガジン、後にコア新書で再刊)は衝撃的な一冊であった。「人は見た目が9割」ならば確実にお近づきになったらヤバそうな4人の家族の顔写真が表紙にならんでおり、実際、見た目通りヤバかった北村実雄……more
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『レッド・プラトーン 14時間の死闘』ある小隊の対タリバン攻防戦 濃密な描写による記録文学
2017年11月10日読後感はひとこと「凄絶にして重厚な戦争映画を飽きることなく最後まで観てしまった」である。本書はアフガニスタンの一拠点における14時間の攻防戦を記述しているだけの、いわば記録文学だ。にもかかわらず、大切な仕事を後回しにしてまでも読みふけってしま……more
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『人を襲うクマ』すべて自己責任、なのか?
被害者の男性は「助けてー」という悲鳴を聞いて現場に駆けつけ、倒れていた女性の背中にのしかかるクマの鼻を杖で殴りつけた。女性を助けたい一心だった。次の瞬間、クマは驚くべき速さで立ち上がり、男性の頭部へ前脚をふりおろした。…more
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『組長の妻、はじめます。』犯罪社会学者による労作 そして異常な面白さ
2017年10月15日数多の犯罪に手を染めながら、ヤクザの組長の妻に納まり子供を授かることで、やっと更生した女の半生記である。父は大阪市生野区の在日韓国人二世のヤクザ社会の人である。関西のアウトローたちにとってはレジェンドであり、いまも憧れの存在だという。現役時代……more
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悪事から足を洗いました。そして『組長の妻、はじめます。』
2017年09月19日タイトルを見てどんな本だろうと思った方に、あらかじめ申し伝えておきたい。最後には「更生」するので、安心して読み進めて欲しい、と。だが本書は、更生してヤクザの世界から足を洗いましたといった類の単純な話ではない。更生して辿りついた先が、組長の妻で……more
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一級の事故事例集『大惨事と情報隠蔽』
本書は多くの歴史的大惨事の主因が情報隠蔽であったという新しい視点を提示する一冊だ。原発事故、大規模リコール問題、金融危機に至るまで情報隠蔽が問題を深刻化させたと分析しており、とても興味深い指摘である。特に金融危機の原因の一つが情報隠蔽というの……more
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『大学病院の奈落』「新聞協会賞」受賞記者がスクープの裏側を詳細に描く
2017年09月15日2015年9月、読売新聞東京本社は同年度の新聞協会賞を受賞した。受賞理由は「群馬大学病院での腹腔鏡手術をめぐる一連の特報」である。その特報取材班のリーダーだったのが本書の著者である高梨ゆき子記者だ。その特報とは、10年から14年にかけて群馬大……more
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『ブラック・フラッグス 「イスラム国」台頭の軌跡』ザルカウィと群像
アフマド・ファディル・アル=ハライレー。それが本書の主人公の名前である。だが本名よりもこちらの名前のほうで世間には知られている。その名はアブー・ムサブ・アッ=ザルカウィ。イラクのアル=カーイダ(AQI)の創設者である。イラク戦争のさなか、米軍……more
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『大学病院の奈落』変われない病院の体質が、惨劇を生み出した
2017年09月06日北関東屈指の医療拠点として知られる群馬大学病院で、2011年から2014年に腹腔鏡を使った高難度の肝臓手術を受けた患者100人のうち、少なくとも8人が死亡していることが判明したというのだ。記事は、8人を執刀したのはいずれも第二外科の同じ医師で……more
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『科学捜査ケースファイル 難事件はいかにして解決されたか』凶悪犯罪と法科学の歴史200年
2017年09月01日多くのミステリードラマや推理小説の題材として扱われる科学捜査は、馴染み深い捜査手法であるが、現実とフィクションが違うのもまた事実である。実際のところ、科学捜査官たちはあの非常線の向こう側で何をしているのか? そんな素朴な興味から、英国を代表す……more
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『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常
本書は日テレの番組、NEWS24の「戦場を歩いてきた」というコーナーを書籍化した物である。戦場ジャーナリストである佐藤和孝が戦場で撮り溜めてきた写真を通して、戦地に生きる人々の日常の姿を伝えるという趣旨の下に作成されたコーナーである。戦争と言……more
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『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』良き敗者の魂
2017年08月15日『石つぶて 警視庁二課刑事の残したもの』は、警視庁創設以来初めてといっていい巨大な事件に立ち向かった刑事たちの活躍を描くノンフィクション。「石つぶて」とは、小さな石ころを意味し、転じて価値のないもののたとえにも使われるが、本書に登場する無名の……more