人物
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ドミニク・チェンって何者だ? 『未来をつくる言葉:わかりあえなさをつなぐために』
2020年03月01日ドミニク・チェンとは何者か? その出自から、お互いがわかりあえることは根本的なところで不可能だという。しかし、ではなくて、だからこそ、わかりあえなさをつなぐ必要がある。深い哲学的考察に裏付けられた超「賢い」本。ドミニク・チェンを知るために、そ……more
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「知の巨人」立花隆のすべてがここに『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』
2020年02月27日「知の巨人」、立花隆の自伝である。単なる好奇心に満ちた「知の巨人」ではない。権力を恐れる必要はない、という教えをキリスト教徒であった母親から学んだ、こわいもの知らずの武闘派である。その立花が、どんな人と会い、どんな本を読み、どんな旅をして学ん……more
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伝説の編集者に会ってきた! ――出版に、希望を探して
2020年02月17日「とりあえず加藤さんに会うことかな」 落ち込んでいたとき、成毛代表がかけてくれた言葉。加藤さん――加藤晴之さんは、講談社で数々の話題作を世に送り出した敏腕編集者。現在は個人事務所を構えて変わらず精力的な出版活動を行っている。でも、なぜ加藤さ……more
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『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論
こんな暗い感情を披瀝したところで会話が盛り上がるはずがなく、賛同が得られるわけでもなし、むしろメソメソうるさい奴だ、望みどおり早く消えればと思われておしまいだ。だから本書を読んだとき、やっとこの始末に負えない思いを打ち明けられる、と晴れやかな……more
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『映画監督 神代辰巳』読者を圧倒する重量と熱量! 日本映画史を辿る貴重な一冊
1995年2月24日、67歳で亡くなった神代辰巳の作品には今でも熱狂的なファンが存在する。本書の刊行記念特集上映〈蘇る神代辰巳〉には、かつて劇場でロマンポルノ見た老人や最近名前を知った若者など、多くの人が集まったと報じられた。 だが神代辰巳……more
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アフリカのエイズをなくせ! 『撃ち落とされたエイズの巨星』
サブサハラにおけるエイズ・HIV感染の撲滅を目指してばく進したオランダ人医師ユップ・ランゲの物語である。その内容は多くのエイズ本とはかなり異なり、尊き個人の壮絶な戦いの記録である。筆者はランゲに励まされて医師になったイスラム系の女性。その内容……more
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『評伝 石牟礼道子 渚に立つひと』
2020年01月29日米本浩二によるこの『評伝 石牟礼道子 渚に立つひと』はイギリス的な基準においてまこと正統な伝記である。 わざわざ大げさにイギリスのことを持ち出したのは、この評伝を読んだぼくが少し当惑しているからだ。米本は何百回となく本人にインタビューを……more
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医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』
難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)に冒され動かなくなった身を、自らが策を弄して設立した湘南鎌倉病院に横たえている『ゴッドドクター 徳田虎雄』。かつて、医療革命の風雲児として喝采を浴びた男の一代記だ。その壮絶な生き様から、昭和から平成にかけての……more
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『無敗の男 中村喜四郎 全告白』竹のようなしなやかさを特徴とする組織づくり
2019年12月24日「中村喜四郎」という名を聞いて何を思い浮かべるだろうか。もはやかすかな記憶…「なにか汚職で捕まった人じゃなかったかしら」。若い人たちなら思い出す記憶もなく「だれ?」というだろう。しかし、本書で改めて、あの事件後、中村氏がどうしていたのかを辿る……more
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天才プログラマーにして闇社会の帝王、超大金持ちにしてドケチ。その男の名はル・ルー。ドラマ化決定の『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』は超弩級のノンフィクションだ!
天才プログラマーであったル・ルーが次々と犯罪に手を染める。ドラッグ、武器、殺人、なんでもありだ。巨万の富を築き上げたが、麻薬捜査官の手が迫る。かつての部下が主役を演じたおとり捜査にまんまと引っかかり逮捕される。ル・ルーは何を証言し、どのような……more
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『悩めるローマ法王 フランシスコの改革』バチカンでいま何が起きているのか
ローマ法王が38年ぶりに来日する。滞在中は広島と長崎の訪問や、東日本大震災の被災者との面会などが予定されている。前回ヨハネ・パウロ2世が来日した時は、初めてローマ法王が日本を訪れたとあって、各地で熱狂的に迎えられた。今回はどうだろうか。フラン……more
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『海峡に立つ 泥と血の我が半生』生臭い社会を駆け抜けた「フィクサー」の半生
2019年11月09日戦後最大の経済事件といわれる「イトマン事件」で逮捕された許永中が自身の半生を綴った自伝である。 許永中が語る戦後からバブル期までの日本は、現代のような漂白された潔癖な社会ではなく、政、財、官と裏社会が分かちがたく深く結びついた社会である。良……more
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『アインシュタインの旅行日記―日本・パレスチナ・スペイン』天才物理学者が見た日本人と日本文化
2019年11月02日本書は旅行中にアインシュタインが書き残した日記や手紙類をまとめたもので、科学の世界に絶大な影響を与え続けている人物が当時の日本と日本人をどのように見ていたかを記した貴重な記録である。…more
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『地図と読む 現代語訳 信長公記』さらに読みやすくなった"信長の一代記"の現代語訳
著者太田牛一は長寿の人であった。名古屋市北区に生まれ、大阪市中央区で亡くなった。享年86。死因はインフルエンザをこじらせたためだといわれる。牛一は信長の家臣であったから、褒めこそすれ、評伝作家のような批判精神は持たない。淡々と事実を書き連ねる……more
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『実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実』
”広島のマザー・テレサ”の知られざる半生2019年10月28日「ばっちゃん」をご存知だろうか。中本忠子さん。84歳。広島市の基町アパートを拠点に、40年近くにわたって非行少年たちに無償で手料理を提供してきた人物だ。この活動と並行して、76歳の定年まで30年にわたり保護司も務めた。把握されているだけでも、……more