日本史
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『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力
本書に収められている読書会は、人選の段階で成功が約束されていたとも言えるだろう。世界の辺境を主戦場とするノンフィクション作家・高野秀行、そして日本中世史を専門とする大学教授の清水克行。この2人が互いに8冊の本を指名し、足掛け2年間をかけて語り……more
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『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー
2018年02月08日柏書房に赴き、著者の藤井青銅さんにインタビューを行った。作家・脚本家・放送作家とマルチに活躍し、いっこく堂や伊集院光、オードリーといったタレントたちの仕事にも関わってきた藤井さん、どんな人だろうと内心びくびくだったが、お会いしてみると優しく面……more
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『GHQと戦った女 沢田美喜』
2018年02月03日ESSや東洋文庫の起源、下山事件の背後にあった新事実など、戦後の空気を伝える出来事も、本書には豊富に配されている。一行一行が密で濃い。団塊世代の著者は、〈自分の生まれた時代の実像を知りたい〉と本書に挑んだという。強い意志が、沢田美喜の生きた時……more
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絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと
本書は生存者の証言や当時の資料などを独自に調査して事故の状況やその背景に迫ったものだが、じつは著者も元自衛官で、慰霊のための八甲田演習に参加している。厳冬期の山の過酷さを実体験として知るゆえだろう、行間ににじむのは無謀な計画の実態や軍の隠蔽体……more
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『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち
1941年12月8日に始まり、45年8月15日に終結した、アジア・太平洋戦争は日本だけでも軍人・軍属230万人、民間人80万人、計310万人もの犠牲者を出した。当然ながらこの戦争は様々な視点から多くのことが論じられてきた。本書は過去の議論を踏……more
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『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』「民族協和」を目指した学生たち
2017年12月17日本書は、著者が建国大学卒業生たちを訪れ、大学時代の様子や卒業後の人生についてインタビューしたのをまとめたものである。建国大学が傀儡国家の最高学府という性格を持ち合わせているため、敗戦後多くの資料が焼却されて残っていない。また、卒業生も85歳以……more
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僧侶で歴史は動いた 『日本の奇僧・快僧』
2017年12月13日奇僧はまだしも、快僧……? 道鏡、西行、文覚、親鸞、日蓮、一遍、尊雲(護良親王)、一休、快川、天海……お坊さんの名前が10人ずらり。共通点は、歴史の教科書で名前を見たことがあること、それから人物がとんでもなくて、おもしろいこと。この10人につ……more
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世界一の戦闘飛行機を創った男『銀翼のアルチザン』
本書は「疾風」を世に生み出した中島飛行機と、そこで生きた人間の物語である。戦闘機について無知な私が、登場人物を通じて戦闘機の世界をはじめて知った。軍によるコンペティション(競争試作)が何度も行われ、そこで中島、三菱、川崎等の会社が競っていたこ……more
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渋谷の歴史と音楽と時間と『渋谷音楽図鑑』
「渋谷は坂と川と谷でできてる街なんだよ。道玄坂だろ、公園通り、それに宮益坂。三つの坂から下ったところに渋谷という谷がある。それぞれの坂で生まれた音楽があるんだよ。僕はずっと渋谷で生まれて育ってきたんだ。…more
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『時代劇の「嘘」と「演出」』クリエイターと 歴史家、「時代」をめぐるせめぎ合い
2017年08月24日『江』「新撰組」「太平記」等々。なつかし時代劇なら「鬼平」「鞍馬天狗」「子連れ狼」…。若い人にも人気を博した「JIN-仁-」「陰陽師」。そのほか数多くのドラマや映画が俎上に載せられ、時代考証を担った学者や製作者、それぞれの立場の苦労や思いを浮……more
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『水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬』稀代の詐欺師、暗躍の戦争裏史
2017年08月06日昭和14年1月の深夜、霞が関の海軍省の地下の一角では、なにやら怪しげな実験が進行していた。「水からガソリン」をつくるというこの実証実験は、山本五十六海軍次官や「特攻の生みの親」ともいわれる大西瀧治郎大佐などの立会いのもと、三日三晩行われ、最終……more
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『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』
2017年07月28日本書のノンフィクション作品としての迫力は、苦しみや悲しみを描いたことにあるわけではない。この作品の土台の強さは、その先に生じた人々の思いを丹念に浮かび上がらせているところにあると言えるだろう。そこに描かれる人間の生きることへの執念や、祖国に帰……more
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『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本 』 日本は西洋に何を求めたか
2017年06月12日グローバリズムが加速度的に世界を覆っていくにつれ、世界各地で文明の衝突が激しさを増している。イスラム過激派によるテロ活動は収束する気配を見せず、北朝鮮の孤立化はより深刻なものとなり、アメリカのトランプ政権は他文化との壁をより高いものにしようと……more
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側近の書いた「信長」 『信長公記(全)』
2017年04月13日家臣が同時代に書いた、織田信長の一代記『信長公記』。これを歴史小説家が現代語で訳したのが本書だ。本能寺の変で自害するまでの15年間がつぶさに記された、歴史資料としても、読み物としても第一級の一冊。これがまあ、おもしろくて一気読み! 時には歴史……more
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『日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで 』 虚構と現実の境界
ノンフィクションとは、なんともとらえにくいジャンルだ。字義通りにみればそれは、フィクションではないものなのだが、もう一歩踏み込んで「フィクションではないもの」とはつまりは何なのかと考えてみよう。「ノン」という否定形ではなく、肯定系でその存在を……more