日本史
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『天皇陛下の私生活 1945年の昭和天皇』知られざる天皇皇后の姿
昭和20年1月1日早朝、昭和天皇は皇居の御文庫内の寝室で目を覚ました。起床を知らせるベルを鳴らすと女官や侍従がにわかに動き出す。ここは昭和17年、吹上御所に建てられた鉄筋コンクリートの防空建築で、戦争が始まってからは事実上の住まいとして使用……more
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『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』知の力を信じるということ
2015年12月24日日中戦争当時、傀儡国家・満州国の最高学府として設立された国策大学が「満州建国大学」である。偽善のスローガンを、そのまま実践しようとして歴史の中で消えていったかつての若者たちは、どんな思いで学び、どんな戦後を生きたのか。日本、中国、モンゴル、韓……more
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『典獄と934人のメロス』横浜刑務所を襲った激震と猛火、そして囚人たちが解放された
1923年、近代化へ邁進する日本を直撃した関東大震災。帝都・東京を中心に関東一円へ大きな被害をもたらし、死者・行方不明者は10万人強にも及んだ。今日残される多くの記録には、「横浜刑務所の囚人が解放され、強盗、強姦、殺人など悪の限りをつくし、横……more
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就職先、南の島 『日本を愛した植民地 南洋パラオの真実』
2015年11月17日本書の舞台は、ミクロネシアである。ただ、そういわれても、茫洋として掴みにくい。だから副題に「南洋パラオ」と入っているのだろう。観光地パラオなら少しはイメージできる。実際に私は、この副題で興味が湧いた。メインタイトルだけだったら、手に取ることさ……more
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『いちまき―ある家老の娘の物語―』 巻措く能わざる「他人事」波乱万丈の一族史
中野翠は私の憧れのもの書きである。一世代上の彼女の書く、切れ味の鋭いコラムを読んでは留飲を下げてきた。今でも、世相を見る目は私の判断基準の一つになっている。その中野翠が自分の先祖について書いたという。自分のルーツになぞ、あまり興味を持たなそう……more
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『みんな彗星を見ていた』
2015年11月06日僕は日本の歴史の中では室町時代から安土桃山時代にかけての300年が一番好きだが、とりわけ16世紀に東と西が出会ってからのキリシタンの1世紀は興趣をそそる。若桑みどりが名作「クアトロ・ラガッツィ」に描いた時代だ。何かに興味を持った時、「外堀から……more
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『〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子』 私立小学校を知れば日本の教育が見えてくる
本書では、どのような親子がどのような価値を求めて私立小学校を選択しているのか、私立小学校はどのような試験でどのような親子を選抜しているのか、という選択と選抜の観点を軸としながら多角的に私立小学校を分析していく。明治初期に誕生した私立小学校の発……more
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無常のブルー『TRUK LAGOON トラック諸島 閉じ込められた記憶』
本書はトラック空襲により海に沈んだ船にフォーカスした写真集だ。商船として生まれながらも、徴傭された軍用船や戦艦、米国のトラック大空襲で沈んだもの40隻余。それらを水中写真家である著者が9年の間撮影し、少しずつ記憶を紡いできた。…more
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『戦後の貧民』無残の中の無念
2015年09月24日本書がえがく「戦後」は、1945年から1950年くらいまでの、占領下の日本である。8月15日に玉音放送が流れて、それで人々の苦しみが終わったわけではなかった。さらなる苦難を味わうことになった人々がたくさんいた。価値観ががらりと変わり、「さあ、……more
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『地図から読む江戸時代』認識が地図をつくり、地図が認識を変える
2015年09月20日どんな人が何を考えて日本図を作製したのか。その日本図には「日本」や「日本人」についてのどのような認識が見え隠れするのか。扇や屏風に描かれたもの、浮世絵師が趣向を凝らしたもの、南が上になっているもの、手描きのものから出版されたものまで、掲載され……more
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草食系インドア派でも楽しめる『秘島図鑑』
「どこか遠くの島にでも行きたい」。そんなことを今夏も考えていたが、行けぬままにすでに9月も半ば。そんな悶々とした気分をさらに悶々とさせてくれるのが本書だ。離島にまつわるエピソードを交えながら、写真が並ぶガイドブックなのだが、紹介する33の島々……more
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『伊四〇〇型潜水艦 最後の航跡 (上、下巻)』 忘れさられた兵器と人間ドラマを再び浮上させる!
1945年8月28日、米潜水艦セグンドは、日本の降伏文書調印式典に、米海軍の潜水艦の代表として列席するため、日本本州から約1000マイル離れた洋上を航海中であった。そのときレーダーが何かを捉えた。レーダーのスクリーンに現れたブリップの大きさに……more
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『南洋と私』南方から聞こえる、小さな声
かつて日本の占領下にありながら、親日的だと言われる南洋の人々。しかし、統治下にあった時代の南洋について知る人は少なく、埋もれたままの歴史は多い。証言者が高齢化していく中で、消えゆく声を伝える本書は非常に貴重な記録といえる。…more
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HONZで読む「第二次世界大戦」
2011年7月から始まったHONZでは、第二次世界大戦関係の本をたくさん取り上げてきた。終戦70周年の記念に、この4年間で紹介してきた関連書をもう一度紹介しよう。日本だけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、中国と国の事情もさまざまである。興味を覚え……more