民俗・風俗
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それってホントに伝統?『歴史の「普通」ってなんですか?』
2018年10月29日それってホントに伝統ですか?この本を読むとあなたの中で「伝統」という言葉の持つ意味が変わってくるかもしれません。結論から言ってしまうと、こういうことになります。「歴史的に見れば、伝統とは、ちょっと長めの流行にすぎません。」…more
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『京都、パリ ―この美しくもイケズな街』斯界の泰斗が語り合う二都にまつわる薀蓄
辞書によると、「薀蓄」とは深く研究して身につけた知識のことである。しかし、小粋なバーの隣席に下手な薀蓄を傾ける御仁がいると、面倒くさいこと、この上ない。その話題が京都やパリであれば尚更だ。老舗カバン店のお家騒動だの、ルーブル美術館のスマホアプ……more
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『硯の中の地球を歩く』1億年前の原石に命を吹き込む無名の名工の誇りと決意
端正な本だ。カバーと帯を取りはずすと、表紙には原寸大に近い一面の硯が刷られている。装丁だけでなく、紙質や印刷も素晴らしい。ゆっくりと味わうように読んだ。著者は書道道具店の四代目。浅草の店では定番の筆や墨なども取り扱っているが、高級な硯は代々の……more
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『酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅』「食」から人類の歩みを知る
酒をテーマに選ぶ研究者や編集者たちは、酒に酩酊効果だけではない、アートを感じ取っているからかもしれない。タイトルがおしゃれというだけでなく、本文もグラスを片手にゆったりと読めるように工夫されている。本書も例外ではなく、要所に図版や地図が使われ……more
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『ノモレ』アマゾンの先住民を描いたノンフィクション文学の金字塔
2018年07月21日一昨年夏に放送されたNHKスペシャル「大アマゾン 最後のイゾラド」の姉妹作品である。イゾラドとは、文明社会と接触したことのないアマゾン先住民。狩猟と採取だけで太古から生きてきた自給生活者であり、その姿はまさに裸族だ。現在でも少人数のグループに……more
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『ノモレ』映像あっての作品ではなく、この本自体がひとつの世界をもった小宇宙である
2018年07月18日冒頭から歌うように始まるこのノンフィクションは、アマゾンで100年前に生き別れたイソラド(文明にまったく接していないアマゾンの部族)の物語だ。そして100年が過ぎた、と国分は書く。100年後のアマゾン。イネ族から文明に帰化し、先住民(イソラド……more
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『ノモレ』未知の先住民イゾラドとの100年越しの再会
2018年07月04日かつてNHKスペシャルで放映された「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」を記憶されている方も多いことだろう。イゾラドとは、文明社会と未接触の先住民を言い表す総称である。アマゾン源流域、ブラジルとペルーの国境地帯に住むとされるイゾラドは、部族……more
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現在、過去、未来……『AV女優、のち』
2018年07月03日晴れのち雨、雨のち晴れ。AV女優、のち――。AV女優の「のち」の後にはどんな言葉が似あうのだろう?のちに続く言葉がポジティブなものであればいいなと、心から思う。この本はタイトルが本当に秀逸だ。「その後」ではなく「のち」。「AV女優、のち」言……more
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『行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000㎞歩いた男との冒険 リアルRPG譚』 絶倫ロバと歩いた3カ月
2018年06月06日春間豪太郎は海外旅行にまったく興味のない青年だった。昼は大学生で、夜は音楽系専門学校を掛け持ちしつつ、バンドでドラムを叩き居酒屋でバイトもしていた。だが親友がフィリピンで行方不明になったと聞き、救出に向かう。親友は無事だったのだが、この旅行が……more
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『辺境の思想 日本と香港から考える』
中国返還から20年がすぎ、「中国化」(大陸化)がじんわり進む中で、かつてのイギリス植民地下で育まれた自由の気風が減じている香港。しかし2014年の民主化デモ・雨傘運動以降、足もとでは新たな変化も起きています。一方、2011年の東日本大震災を経……more
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『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』本が宝物だったころ イタリアの山村、モンテレッジォの物語
ツイードジャケットは英国製よりもイタリア製のほうが好きだ。柔らかく、シワになりやすいが、肌に馴染んで、なによりも色合いが美しい。本書はそのイタリアの織物のように軽やかで、味わい深く、時には風を通すような美しい本だ。紙質、装丁など、どこを見ても……more
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『ルポ 中国「潜入バイト」日記』絶望もなければ希望もない
我々は中国をどこまで知っているのか。メディアにすり込まれたステレオタイプな中国人像で語ってないだろうか。上海の寿司屋、反日ドラマの日本兵役、山東省の田舎町にあるパクり遊園地の踊り子、上海の高級ホストクラブのホスト、爆買いツアーのガイド、留学生……more
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おやつを用意して読みたい『歴史をつくった洋菓子たち―キリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで』
表紙のアップルパイに惹かれて、本書に手を伸ばした。甘く煮付けた熱々のりんごと、サクサクのパイ生地が美味しそうだ。洋菓子は、生きていく上で米や塩のように必須ではないが、私たちの生活に彩りをもたらしてくれる。洋菓子の歴史は記憶によって語り継がれる……more
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360年続く出版社を訪ねて 〜後編〜
2018年02月25日360年続く稀有で貴重な出版社に乗り込んだHONZ! 大火に見舞われながらも続いてきた版元、その名は「檜書店」。能の謡本を出し続けてきた。江戸時代の大、大、大ベストセラーとなった「謡本」とはどんなものなのか。檜書店の内部にさらに迫ってみよう。……more
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360年続く出版社を訪ねて 〜前編〜
2018年02月24日日本の出版社の数は3370社もあるそうだ。数は最近減ってはいるものの、それでもまだまだ世界的に見れば、出版活動が盛んな国だと言えるだろう。そんな出版社の中で一番古いのはどこか? と言われれば諸説あるのだけれど、360年続くという出版社が東京に……more