社会
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『ブループリント 「よい未来」を築くための進化論と人類史』分断された世界に広がる、たった1つの設計図
2020年10月17日遺伝子を単に才能や特徴など個人レベルの違いの源泉とするのは、一面的な捉え方でしかないと本書は教えてくれる。本書によると、私たちの遺伝子には集団や社会を形成するのに必須となる設計図が刻まれている。そして、どんな集団も、その設計図に則って共通の構……more
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『バブル』幻冬舎の元看板編集者が語るあのボスとの出会いから別れまでー。
2020年10月16日著者の山口ミルコさんは1965年生まれ。89年には24歳。新卒時は、まさにバブル期のど真ん中で働く保険会社の普通のOLのひとりだった。あるきっかけでボスに紹介された著者は角川書店に転職した。そこから20年ほどの間、彼女は怒涛の編集者生活を送る……more
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『言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか』強権化する大国中国と それに抗う若者たち
2020年10月10日2017年から香港特別行政区行政長官選挙を普通選挙で行うという約束を、14年に中国政府が反故にしたことに反発する市民らが行った抗議活動、「雨傘運動」は、日本でも大きなニュースになった。この運動で中心的な役割を果たした組織が「学民思潮」だ。本書……more
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『コロナ禍日記』未知なる状況下の日々が記録されたアンソロジー
2020年10月03日本書は日本および世界各地で暮らす17人がコロナ禍に見舞われた日々を綴った日記のアンソロジーである。登場するのは小説家、漫画家、ミュージシャン、評論家、店舗経営者ら。コロナ関連の日記のアンソロジーは他にも出版されているが、本書の魅力は一人ひとり……more
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『ぼくは挑戦人』世界で活躍するジャグラー 在日コリアン3世のあゆみ
2020年09月29日本書は、「自分は何者なのか」を問い続けた在日コリアン3世の著者が、「挑戦人」として生きるに至るまでのヒントや糧をもらった人たちとの出会いの記録だ。…more
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『全体主義の克服』「現代の全体主義」に立ち向かう二人の哲学者
2020年09月24日本書は、マルクス・ガブリエルと中島隆博という、ドイツと日本を代表する哲学の泰斗が、これまでとは全く異なる視点で哲学のあり方を論じた新しい啓蒙書である。…more
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『人新世の「資本論」』未来を構想する新しい思想の誕生!
2020年09月23日この興奮が醒めないうちに書いておきたい。凄い本を読んだ。マルクスを現代にアップデートさせた研究で世界的な注目を集める俊英・斎藤幸平の『人新世の「資本論」』である。新書の世界には何年かに一度、画期的な本が現れる。物事の見方に新しい方向から光を当……more
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『ドキュメント 感染症利権 医療を蝕む闇の構造』国民の健康より省益優先、感染症の意思決定の歴史
2020年09月19日「隔離」は感染症対策の基本だが、元患者や家族が日常生活を送れなくなるのは異常だろう。例えば、ハンセン病は21世紀になってようやく、患者への隔離政策に違憲判決が出た。しかし、その後も元患者への差別がなくならないのが日本の現実だ。 社会をす……more
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『贈与の系譜学』純粋な贈与を考える知的冒険
本書が面白いのは、真に純粋な贈与の思索を深めていることである。それは、かけがえのない唯一の最愛のものを贈ることであり、見返りや返礼をまったく求めないことである。そんなことはあるのだろうか。日常的に行うプレゼントや冠婚葬祭のお祝いや香典には、お……more
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『その名を暴け #MeToo に火をつけたジャーナリストたちの闘い』なぜ彼女は声を上げたのか、その先に何を見出したのか
2020年09月11日ひと口に調査報道というが、調査することも報道することも、全体からすればパーツの1つにすぎない。調査に至るまでの情報提供者の説得、被害者を公表するうえでの情報戦略、取材プロセスを公平なものにするための加害者側とのやり取り、そして報道後の協力者の……more
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『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』孤独に死にたくなければ、自分から胸襟を開くほかない
2020年09月08日この著者の本を読むのは初めてではない。なので、怖さはある程度予測できた。それでも、幾度となく背筋が凍る思いがした。この本で語られている現実は、人生の選択において誰もが避けたいと考える結末である。社会からの孤立。家族と無縁で、友達はゼロ。そして……more
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『KGBの男 冷戦史上最大の二重スパイ』ソ連のエリートがMI6に、歴史を動かした二重スパイ
2020年09月05日スパイ小説といえば007シリーズの作者イアン・フレミングや、ジョン・ル・カレといった英国の作家の名が頭に浮かぶ。「やはり、スパイ小説は英国に限る」と通ぶってみたくなるが、実は、ノンフィクションの世界にも同じようにスパイ分野の第一人者といえる作……more
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『同調圧力』を買ったのは、どういう人たちなのか?
2020年09月03日8月に発売になった『同調圧力』(鴻上 尚史, 佐藤 直樹)が好調です。店頭に並び始めた8月20日前後から一気に売上を伸ばし、重版を繰り返しながらもまだまだ品切れ店が多い状態が続いています。サンプル数が少ない中ではありますが、首都圏と比較すると……more
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『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる
2020年08月26日待ちに待った邦訳がようやく出た。デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』である。「ブルシット・ジョブ」とは、「クソどうでもいい仕事」のことだ。 もう少し丁寧に説明すると、「なんのためにあるのかわからない、なくなっても誰も困らない仕事」……more
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「医療政策」は政治家だけのもの? 『世界一わかりやすい「医療政策」の教科書』
2020年08月25日国民皆保険が実現されている日本の医療制度は、他国の範となっているように見える。しかし、これからの低成長経済や超高齢化社会、現在の新型コロナウィルス感染拡大などの状況を考えると、これまであまり馴染みがなかった「医療政策」を世界標準に近づける必要……more