社会
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地を這う新型コロナウイルス禍メモワール、60職種77名による『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』
2020年06月27日新型コロナウイルス感染、緊急事態宣言が出された頃から三週間ほどの日記集である。60種類の仕事の77人が、それぞれの立場から自分の声で語る。ほぉそんなことがあったんですか、とか、あぁそうでしょうね、とか、思わずうなずきたくなるお話ばかり。記憶が……more
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『上海フリータクシー』成長と矛盾が生み出した、大きな国の小さな個人の物語
2020年06月27日全編を通して、満たされたからこそ感じる空虚さが丁寧に描かれており、登場する一人ひとりの人物へ強く感情移入できる一冊だ。報道などを通じてでは決して知ることのできない、新しい中国の姿を見ることができるだろう。…more
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『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム
2020年06月24日甲南大学文学部の田野大輔教授のファシズム体験学習である。 田野教授が「田野総統」、学生たちは「田野帝国の国民」となって行なわれるロールプレイングを通して、人々がファシズムを受け入れるときどのような感情の動きがあるのかを体験させ、いわば「ファ……more
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『フューチャー・ネーション 国家をアップデートせよ』
2020年06月24日本書はすっかり色あせてしまった従来のグローバリズムの問題点を洗い出し、新たなビジョンと方法論を提唱する、いわば「新生グローバリズムのマニフェスト」だ。著者が浮世離れしたドン・キホーテではないことは、本書を読めばわかる。むしろ欧米諸国の視点だけ……more
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『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』経済学が自分ごとに変わる本
2020年06月20日2019年ノーベル経済学賞受賞者が、移民、経済成長、気候変動、経済格差などの大きくて複雑な社会問題について切り込んでいく一冊だ。経済学って小難しくてとっつきづらい。人の心理を単純化しすぎで、実感が湧かない。そもそも経済学って、どれほど社会の役……more
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『シリア原子炉を破壊せよ イスラエル極秘作戦の内幕』極秘裏のシリア原子炉空爆、その背後の覚悟と戦略
2020年06月20日2007年、シリアの砂漠地帯で密(ひそ)かに建設されていたアルキバール原子炉を、イスラエルが空爆した。イスラエル政府がこの攻撃を公式に認めたのは18年になってからだ。本書は、秘密裏に行われ、その後もイスラエルが黙秘してきた原子炉攻撃の全貌と、……more
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第三次産業革命の根幹資源『レアメタルの地政学』
クリーンエネルギー社会を支える電気自動車やデジタル機器はより多くのレアメタルを必要となる。本書は、今後、私たちの社会にとって重要な資源となるレアメタルについて警鐘を鳴らす。…more
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『ホハレ峠 ダムに沈んだ徳山村百年の軌跡』最後のひとりが語る消えゆく民族史
岐阜県揖斐郡徳山村のダム建設は1957年(昭和32年)に計画された。村は水没するため、住民は集団移転地と移転補償金を手にした。ダムが完成し注水が始まったのが2006年9月。計画から50年後だ。 著者が東京から徳山村まで通い始めたのは1993……more
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『ワイルドサイトをほっつき歩け』愛すべきおっさんたちの愚かで優しい日々
2020年06月03日どこの国でもそうなのか、諸悪の根源のように言われている巷のおっさんは本当にそんなにひどいのか。 中学生の息子の見た世界、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が大ヒットしたイギリス在住の物書き、ブレイディみかこさんが今回ターゲットに……more
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彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』
この2ヶ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞やネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。だが本書を読んだ後は、奇妙な感覚にとらわれるに違いない。彼女のこと……more
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『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を買ったのは、どういう人たちなのか? Vol.2
2020年05月31日先日、毎年恒例となる上半期ベストセラーが発表されました。『鬼滅の刃』の勢いに目が行きがちですが、ビジネス書では『FACTFULNESS』が1位を獲得し、その人気を見せつけました。『FACTFULNESS』は2019年1月発売の作品ですので、「……more
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『性転師』知られざる性転換ビジネスの裏方
「アテンド業」の実態に迫る「性転師」とは、性別適合手術を受けるために海外に渡航する人を手助けする「アテンド業」に携わる人々を指す。もちろん正式な職業名ではない。本書の造語だ。 「師」という字から、詐欺師や地面師のような怪しげな仕事を連想するが、著者はこの言葉に、医療……more
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『病魔という悪の物語 チフスのメアリー』あなたは本当に“大丈夫”
約100年前のニューヨークで、腸チフスの無症候性キャリアで会った女性が、離島に合計で25年余り隔離された事実を追った物語である。彼女は「チフスのメアリー」と呼ばれ、亡くなったのち現在まで「毒婦」「無垢の殺人者」の意味でその名は残った。…more
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世界の石油市場を動かす『ロスネフチ-プーチンの巨大石油会社-』
本書は、基幹エネルギーである石油という観点から、グローバル政治経済かつ石油市場の雄であるロシアを理解していく書だ。今後、ロシアならびにロシアの戦略的企業であるロスネフチがどのように国内外で振る舞おうとしているのか、日々のニュースでは読み解けな……more
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『現代経済学の直観的方法』アフターコロナすら見通せる、現代経済学の最良のテキスト
2020年05月02日著者の手法は、難解な概念の核心部分を、大胆なイメージ化によって直観的に理解させるというものだ。ベクトル解析やフーリエ変換といった数学の「難所」につまずいた学生たちから「目からウロコが落ちた」「初めて腑に落ちた」と絶賛の声が相次いだというのもう……more