今月読む本

8月の「今月読む本」 その1

東 えりか2017年8月7日

「春の研修会」からはや5ヶ月。新しくメンバーになる人あれば退会する人ありで、久しぶりに顔を合わせましょうと言う話になったのが7月の初頭。仲野徹の上京にあわせて日程は決まったのだが、その仲野から「前日は夜会にしよう」という爆弾発言があった。

じゃあ会場はここで、と成毛が決めたのはメキシコレストラン。酒はビールとテキーラしかない、ですって!!

はい、予想通り、時間通り朝会に来られたのはメンバーの約半分でした。もう次から前日の夜会はよそう……。

波乱含みで始まった朝会ですが、始まってみれば面白い、面白い。大笑いの2時間でした。

◆まずは冬木糸一最近のレビュー本数はいちばんじゃないかな?

すごい物理学講義

作者:カルロ ロヴェッリ 翻訳:竹内 薫
出版社:河出書房新社
発売日:2017-05-22
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人はなぜ太りやすいのか――肥満の進化生物学

作者:マイケル・L・パワー 翻訳:山本 太郎
出版社:みすず書房
発売日:2017-07-19
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 レビューはこちら

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

作者:アンドレアス ワイガンド 翻訳:土方 奈美
出版社:文藝春秋
発売日:2017-07-28
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実にキャッチーな3冊。アマゾノミクスは読んだ人が何人かいて賛否両論だった。言いも悪いもこれからの「物を買う」という行為に影響を与える本だと思う。

◆発売されてから間をおかずにレビューをアップする澤畑塁読むのが早いなあ。

大人のための国語ゼミ

作者:野矢 茂樹
出版社:山川出版社
発売日:2017-08-01
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ラボ・ガール 植物と研究を愛した女性科学者の物語

作者:Hope Jahren 翻訳:小坂 恵理
出版社:化学同人
発売日:2017-07-30
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なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学

作者:唐沢 かおり
出版社:東京大学出版会
発売日:2017-07-27
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『国語ゼミ』がメンバーの興味を惹く。大学の講義で聞いて感動したという澤畑。文章を書く人なら絶対に参考になるそうだ。その場で買う人続出。女性研究者ものも心理学での「忖度」ものも、今読んでおきたい。

◆初めての朝会登場。新メンバーの西野智紀

森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然

作者:宮崎学
出版社:亜紀書房
発売日:2017-07-05
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科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか

作者:ヴァル・マクダーミド 翻訳:久保 美代子
出版社:化学同人
発売日:2017-07-24
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歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (岩波科学ライブラリー)

作者:千葉 聡
出版社:岩波書店
発売日:2017-06-14
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『科学捜査ケースファイル』は私もイチオシ。日本の野性動物写真家の第一人者、宮崎学の写真集は気になるなあ。

◆前の晩の影響がまったくなく、爽やかな笑顔の仲野徹

大阪ソースダイバー: 下町文化としてのソースを巡る、味と思考の旅。

作者:堀埜浩二
出版社:ブリコルール・パブリッシング
発売日:2017-07-21
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命みじかし恋せよ乙女: 大正恋愛事件簿 (らんぷの本)

作者:
出版社:河出書房新社
発売日:2017-06-23
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人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか?

作者:エリエザー・J・スタンバーグ 翻訳:水野 涼
出版社:竹書房
発売日:2017-06-29
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関西のスーパーマーケットに行くとソースとポン酢の種類の多さに驚いてしまう。「お気に入りのマイソースが家族それぞれにあるんや」と説明してくれた。宇宙人にアブダクションされる理由はみんな知りたいらしく、読んだり買ったりした人多数。

◆いくらか前の晩の影響が顔に出ていた首藤淳哉

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの

作者:清武 英利
出版社:講談社
発売日:2017-07-26
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チャヴ 弱者を敵視する社会

作者:オーウェン・ジョーンズ 翻訳:依田卓巳
出版社:海と月社
発売日:2017-07-20
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いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」

作者:長谷川 晶一
出版社:集英社
発売日:2017-05-26
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『石つぶて』も『CHAVS』も「ああ~~」という声多数。どちらも大注目されている本だ。赤い装丁のこの本を出したメンバーは何人もいた。ヤクルトスワローズという球団は嫌われないよね、という話も。

◆朝会まで読みたい本を自制していたという小松聡子

丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-

作者:丹野 智文
出版社:文藝春秋
発売日:2017-07-13
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性表現規制の文化史

作者:白田 秀彰
出版社:亜紀書房
発売日:2017-07-20
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あたらしい無職 (SERIES3/4 2)

作者:丹野未雪
出版社:タバブックス
発売日:2017-07-12
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若年性認知症の丹野さんは、いま一番注目されている人。ブルマー小松としては「性表現」についての本は外せない。人生の内で無職の時代は必要か?はちょっと考えてみたい。

◆海外で新しい見聞を広げているアーヤ藍

人生を味わう 古典落語の名文句 (PHP文庫)

作者:立川 談慶
出版社:PHP研究所
発売日:2017-07-04
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インタビュー

作者:木村俊介
出版社:ミシマ社
発売日:2017-05-20
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本の未来を探す旅 ソウル

作者:内沼晋太郎
出版社:朝日出版社
発売日:2017-06-02
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古典落語を聞きながら眠りにつくというアーヤ。心に残る名台詞が多い。インタビューをすることもある私は木村俊介さんの本は要チェック。ソウルでは新しい書店の波がきているそうだ。

◆前の晩の影響を隠しきれない田中大輔

コンプレックス文化論

作者:武田 砂鉄
出版社:文藝春秋
発売日:2017-07-14
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渋谷音楽図鑑

作者:牧村 憲一
出版社:太田出版
発売日:2017-07-05
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新悪魔が憐れむ歌

作者:高橋 ヨシキ
出版社:洋泉社
発売日:2017-07-19
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カルチャー最前線的な本は田中らしい。私の世代だと渋谷が音楽の町っていうのは少し違和感があるけど。『新悪魔が憐れむ歌』は映画が好きな人は要チェック。

◆仕事上での編集担当本が終盤でお疲れモードの塩田春香  

日曜日の狩猟採集生活

作者:
出版社:つり人社
発売日:2017-07-06
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その道のプロに聞く 生きものの見つけかた

作者:松橋 利光
出版社:大和書房
発売日:2017-07-23
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塩田はブレない。生物に無償の愛と興味を持ち続けている。それにしてもドジョウのおならの写真を嬉しそうに紹介するのはHONZの朝会ならでは、だろうなあ。

◆今回は推薦本がダブりまくりの内藤順

マフィア国家――メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々

作者:工藤 律子
出版社:岩波書店
発売日:2017-07-28
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ナチスと隕石仏像 SSチベット探検隊とアーリア神話 (集英社新書)

作者:浜本 隆志
出版社:集英社
発売日:2017-07-14
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ボコ・ハラム:イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織

作者:白戸 圭一
出版社:新潮社
発売日:2017-07-18
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開高健賞を受賞した『マラス』の第二弾『マフィア国家』が面白そう。ナチスがチベットから仏像を持って帰ってきたという話も興味深い。「こんな本ばかり紹介したらひどいヤツだと思われそう」と心配する内藤であった。

◆国際薬膳師としても活躍中の麻木久仁子

21世紀の民俗学

作者:畑中 章宏
出版社:KADOKAWA
発売日:2017-07-28
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性食考

作者:赤坂 憲雄
出版社:岩波書店
発売日:2017-07-26
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江戸・明治 百姓たちの山争い裁判

作者:渡辺 尚志
出版社:草思社
発売日:2017-06-16
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現代のテクノロジーと古くから残る民俗学の融合は時に驚くような変化を起こす。食べることと交わる/殺すこと、という関係も知りたい。土地と水は命の元。これも面白そうだ。

◆「二度寝しちゃった~」とすまなさそうに遅れて入ってきた足立真穂

仕事に役立つ専門紙・業界紙

作者:吉井 潤
出版社:青弓社
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発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ

作者:小倉ヒラク
出版社:木楽舎
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塑する思考

作者:佐藤 卓
出版社:新潮社
発売日:2017-07-31
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どんな業界にも専門誌は複数あり、その比較をした本はみんなの興味をそそる。料理教室を開いている麻木によると「発酵」はいまトレンドなんだそうだ。第一線で活躍するデザイナーの思考とはどんなものか?これも面白そうだ。

◆夜会の影響が色濃く残る峰尾健一。どうやら最後までヨッパライたちの世話をしてくれたらしい。

NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

作者:フローレンス・ウィリアムズ 翻訳:栗木 さつき
出版社:NHK出版
発売日:2017-07-25
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虚構新聞 全国版 ([テキスト])

作者:虚構新聞社
出版社:ジーウォーク
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超絶記録! 西山夘三のすまい採集帖 (LIXIL BOOKLET)

作者:住田昌二
出版社:LIXIL出版
発売日:2017-06-26
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「虚構新聞はフィクションと違うの?」という仲野の鋭い指摘。そうでした、朝会はノンフィクション本の紹介に限るのだった。緻密に描かれた1940~60年の住まいのイラストは懐かしいような、新しいような。

◆締め切り続きで夜会に出られなかった東えりか

中国最凶の呪い 蠱毒

作者:村上 文崇
出版社:彩図社
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牛車で行こう!: 平安貴族と乗り物文化

作者:京樂 真帆子
出版社:吉川弘文館
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愛されすぎたぬいぐるみたち

作者:マーク・ニクソン 翻訳:金井真弓
出版社:オークラ出版
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呪術大国の中国で最も恐れられている蠱毒の呪式を古文書から徹底解説。これは背筋がぞぞっ!平安貴族の乗り物の牛車を豊富な図式から解説。幼いころから持ち続けているぬいぐるみは、人からみたら少し怖いかも。

◆「併せて読まれたこの一冊』担当の古幡瑞穂には恒例の「これから売れそうな本」を紹介してもらう。

ムー公式 実践・超日常英会話

作者:宇佐和通
出版社:学研プラス
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世界をまどわせた地図――伝説と誤解が生んだ冒険の物語

作者:エドワード・ブルック=ヒッチング 翻訳:関谷 冬華
出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
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その悩み、すでに哲学者が答えを出しています

作者:小林 昌平
出版社:文響社
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浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

作者:劇団雌猫
出版社:小学館
発売日:2017-08-08
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『うんこ漢字ドリル』の大ヒットでにわかに活況を呈してきたドリル本。非日常的な出来事を英語でどうやって説明するか?この世に存在しない土地が、実は地図に載っていた?人類の悩みはすでにほとんど解決されている?途方もない金額を自分の興味につぎ込む人たちの生態は?などなど、どの本もみんな買ってしまいそうだ。

出席したメンバーのオススメ本はここまで。「へぇ~」ちう感心と「それ、面白くない」の一刀両断仕事で笑いに包まれた朝会でした。欠席した者を含め、酒に負けた者のオススメはまた追って紹介します。夏休みの旅行に持っていく本の参考にしてくださいね。