『100歳、ずっと必要とされる人』新刊超速レビュー

田中 大輔2013年05月30日 印刷向け表示
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100歳、ずっと必要とされる人
作者:福井福太郎
出版社:日経BP社
発売日:2013-05-23
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100歳で、毎日通勤している現役のサラリーマンがいる。

これを聞いたとき、私は目を疑った。100歳で現役?どうしてそこまでして働くの?という疑問が頭に浮かんだ。しかも、毎朝、通勤で辻堂から神田まで、片道1時間ほどを電車で通っているという。

100歳のおじいさんが満員電車に?

さらに昼ごはんにはマクドナルドでハンバーガーを食べることもよくあるという。

100歳のおじいさんがマックを食べる?

シンジラレナイ。つい片言になってしまうくらい衝撃を受け、それっていったいどんな人?と、興味を覚えずにはいられなかった。

そのおじいさんの名前は福井福太郎という。この本の著者である。福太郎さんの生まれは1912年(明治45年)5月。あと2か月生まれるのが遅ければ、大正になるというタイミングである。その後、2度の世界大戦に、関東大震災、金融恐慌、世界恐慌といったことをリアルに体験している。

そんな福太郎さんがサラリーマンになったのは49歳のときである。現代の感覚からすると遅い。大学を卒業したあとに、慶応義塾大学で助手を努め、第2次大戦で戦地に赴き、復員してからは、父親が起こした毛皮の会社で、セールスとして働いた。その後、大学の助手を一緒にしていた人が、望月証券の社長となり、その人に請われて49歳で望月証券に入ったのだ。

証券会社を退職したあとは、東京宝商会という福太郎さんを含め社員3人の小さな会社で働いている。いまでも現役で働いているというから驚きだ。その期間、なんと、51年!半世紀以上!ってすごすぎて、もうなにがなんだかよくわからない。

なぜそこまでして働き続けるのだろう?裕福な家庭で育ち、証券会社で定年まで働き、お金には困っていないはずである。福太郎さんはけっしてお金のために働いているのではないのだ。ましてや暇つぶしなどでもない。

ではなぜか?その理由の一つは会社や同僚から「必要とされているから」だ。会社を辞めたいと申し出た96歳のときに、福太郎さんにはずっといてほしいと会社のオーナーから引き止められたというのだ。それ以来、仕事を続けている。

福太郎さんは利他の精神を大事にしている。大学時代に福太郎さんが学んだほぼ無名の経済学者シモンド・ド・シスモンディから影響を受けたそうだ。利他の精神があったから100歳になっても会社から必要とされるのだ。

また福太郎さんは、元気な間は、人間はずっと働かなくちゃいけないと思っている。動物は死ぬまで自分で食料を調達しなくてはいけない。人間も動物の一種なんだから、生きるために、死ぬまで働かなくちゃいけないという考えを持っているのだ。

100歳を過ぎても、必要とされているから現役で働き続ける。なんて素敵で幸せな人生なのだろう。高齢化社会が進むなか、福太郎さんのように、人に必要とされて、働く人が増えれば、世の中はきっといまよりちょっといい世界に変わるはずだ。

最後は福井さんの言葉でレビューを締めたいと思う。

“生きてる間は人間、一生懸命、生きなきゃいけないんです。”

生きよ!そして働け!

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