西野 智紀
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『空想地図帳 架空のまちが描く世界のリアル』最高密度かつ圧倒的熱量の密室趣味
実在しない街や地域を大人になっても地図に描き、追究し続ける人々がいる。それも、描き方だけでなく、地理、地形の形成、歴史、都市計画とい…more
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『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本
本書は、2021年4月に出版された竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)への反論本である。それも、明確な事実と論拠に基づいて真っ向からメッ…more
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『欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア』あなたが何かを欲しいと思う気持ちは、本当にあなた自身の欲望なのか?
人間は欲望で動いている。年収1000万になりたい。タワーマンションで快適な暮らしをしたい。早めに結婚して平和な家庭をつくりたい……。…more
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『霞が関の人になってみた 知られざる国家公務員の世界』「官僚」の魅力とシビアな現実をゆるーく語るエッセイ
国会中、大臣や議員の背後で控えている人々。中継を見ていても、どこか厳めしく無機質で、原稿を読むときもぼかしたような言い回しをする。「…more
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『テキヤの掟 祭りを担った文化、組織、慣習』「暴力団博士」が調査する、共同体を成し、落伍者でも受容する商売人たちの貴重な回顧録
露天商――テキヤを暴力団と同一視するのは誤りである、と著者は力説する。犯罪社会学・社会病理学の研究員で、法務省委託の保護司としても活…more
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『傷つきやすいアメリカの大学生たち』「自分の気持ちの安全」が育む激しいキャンセル活動の根源を探る
2023年2月7日著者2人が問題提起するのは、2013年以降、アメリカの大学内で度々発生する、言論の自由、学問の自由が脅かされる事態についてだ。それも…more
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『人生はそれでも続く』22人の「時の人」のその後を追う調査報道
我々は連日のニュースの多くを娯楽として消費している。事件・事故・災害に憂い悲しみ、スポーツ選手の活躍に喜び、可愛らしい動物の映像に癒…more
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『キツネ潰し 誰も覚えていない、奇妙で残酷で間抜けなスポーツ』動物虐待とトライアル&エラーの娯楽史
中世ヨーロッパではメジャーなスポーツであった、キツネなどの動物を空中高く投げ飛ばす競技「キツネ潰し」。このスポーツの記述と挿絵を偶然…more
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『大人のいじめ』それはリベラル競争社会の裏の顔
2022年1月31日激辛カレーを無理矢理食べさせる。校内の物置小屋に閉じ込める。プール清掃時に石を投げつけたり泥水をかけたりする。殴る、蹴るは日常茶飯事…more
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『探偵はここにいる』解き明かされる探偵たちの実像、妖しい不倫現場、そして社会の闇の断片
2021年5月20日探偵の人生にじっくり焦点を当てた本をずっと読みたいと思っていた。フィクションではなくノンフィクションでだ。結論を先に書いてしまうと、…more
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『罪を償うということ 自ら獄死を選んだ無期懲役囚の覚悟』無反省は凶悪犯への第一歩
帯にある身も蓋もない惹句のとおり、本書は刑務所に服役する凶悪犯の大多数が自らの犯した罪について何ら反省していないと指摘する一冊である…more
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『潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景』宮城の海に潜り続けた男の濃密な半生を描く評伝
その人にしか語り得ない境地というものがある。人生は十人十色だが、特殊な技能が必要で、なおかつ特異な環境に我が身を起き続けた人の軌跡は…more
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『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記 こうして私は職業的な「死」を迎えた』げに恐ろしき、出版界の裏事情を綴る真摯な暴露本
本書は、ベストセラー『7つの習慣 最優先事項』の訳で一躍売れっ子翻訳家になった著者が、出版社との様々なトラブルを経て業界に背を向ける…more
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『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』孤独に死にたくなければ、自分から胸襟を開くほかない
2020年9月8日この著者の本を読むのは初めてではない。なので、怖さはある程度予測できた。それでも、幾度となく背筋が凍る思いがした。この本で語られてい…more
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『南極で心臓の音は聞こえるか 生還の保証なし、南極観測隊』逃げ場なしの極寒、懐にジョークを携えて
南極大陸内陸部、人間がいなければどんな生物もいない場所で、風すら吹かない時は、あまりの静寂ゆえに、己の心臓の脈打つ音や、血管を血が流…more