西野 智紀
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『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか?
2020年7月19日本書は、大人たちの「夢を持て」「大志を抱け」という温かなアドバイスが数多の若者たちを苦しめている事実を剔出する一冊である。なんだそり…more
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『まどわされない思考 非論理的な社会を批判的思考で生き抜くために』陰謀論や疑似科学のあやしげな論理を見抜く
彼が戦ってきたのは主に疑似科学、反科学、陰謀論だ。マドックス賞の受賞理由も、反HPVワクチン、気候変動否定論、反原子力といった運動の…more
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『夢の正体 夜の旅を科学する』今こそ、夢を楽しむべき時
2020年4月17日本書は、睡眠と夢の研究史をひもとき、我々の夜の旅の意味と効能を考察し、現実の生活も豊かにせんとするポピュラー・サイエンス本である。著…more
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『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション
実際のところ、街角で探偵社のポスターやチラシを見かけたことはあっても、探偵業とはどのような職業でどんな仕事をしているのか、具体的に知…more
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『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論
こんな暗い感情を披瀝したところで会話が盛り上がるはずがなく、賛同が得られるわけでもなし、むしろメソメソうるさい奴だ、望みどおり早く消…more
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『毒薬の手帖』それはダーティな1920年代アメリカで躍動する鉄人毒物学者二人の泥臭く革新的な功績
たまらなく渋くてカッコいい主人公の紹介から始めたい。表紙の写真左、試験管を持つちょっと神経質そうな男が化学者アレグザンダー・ゲトラー…more
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『宇宙から帰ってきた日本人』あの名著から36年、宇宙は近くなりにけり
2019年12月12日1983年、知的欲求旺盛なあるジャーナリストが一冊の本を上梓した。それは、米ソが宇宙開発戦争に明け暮れていた時代、母なる地球を離れ、…more
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『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』難問と相対する白熱の全記録
2019年11月13日2015年の文系学部廃止報道以降、日本の古典文学研究・教育は縮小の一途をたどっている。この危機に対して、古典(本書では主に古文・漢文…more
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『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』膨大な弱いつながりを見つめ直し人間らしく生きる哲学
我々はSNSやソーシャルゲームに備わる巧妙で強い依存性のある仕掛けに心を絡め取られている――というのは、評者が先月レビューしたアダム…more
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『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』誘惑に勝てないのは意志が弱いせいじゃない
スティーブ・ジョブズは自分の子供たちにiPadを使わせていなかった――彼はその影響力をもって世界中に自社のテクノロジーを広める一方で…more
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暗い好奇心を満たす豪華絢爛の著『犯罪学大図鑑』
"そんな中でも、ひときわ暗い好奇心を呼び覚ましてくれるのが、凶悪犯罪だ。事件のあらましから犯人の手口、動機、背景、現場の状況、事件の…more
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忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』
もうタイトルからして「なんじゃこりゃ」だが、読み終わっても「なんじゃこりゃ」である。でも面白いんだから書評するより仕方ない。本書(通…more
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『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』野良ネコへの愛情はリスクを孕む
2019年5月6日本書を読む少し前、環境省による奄美大島のノネコ(野生化したネコ)への対策が議論を呼んでいるとのニュース記事を読んだ。ノネコが国の特別…more
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『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』つらく、悲しく、身近に迫る死
2019年4月10日読み進めるのが苦しい一冊だった。登場する人々が長く抱えてきた生きづらさが、とても他人事に思えなかったからだ。壮絶な「現場」の描写も相…more
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『9つの脳の不思議な物語』脳が脳自身を理解できた日はきっと最高にロマンティック
2019年3月6日本書の著者も、人々の人生にずっと関心を持ってきた。その好奇心が高じて、イギリスのブリストル大学では脳の研究に没頭し、神経学の学位を取…more