一家に一冊『道具と機械の本-てこからコンピューターまで』

栗下 直也2011年12月20日 印刷向け表示
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新装版 道具と機械の本――てこからコンピューターまで

新装版 道具と機械の本――てこからコンピューターまで
  • 作者:デビッド・マコーレイ、歌崎秀史
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/09/08

今年も残り10日ばかりだ。学生時代、文系一直線だったからか、30歳を過ぎても変身願望がまだ潰えないのか、今年も「気が進まないが読めたらいいなと思う理系の臭いがプンプンする本」に性懲りもなく手を出してみた。私のレビューは、HONZ副代表の東曰く「色物」が中心だが、一応、「それっぽい本」も買ってはいるのだ。

忘れもしないのは9月。HONZの高村が定例会で、「素粒子を基礎から勉強しようと思いまして」と『図解で詳しく 宇宙と素粒子のしくみ』を紹介した時だ。「基礎からならイケル!キタ!キタ!」と鼻息荒く、定例会直後にAMAZONの特急便で注文したのだが、大事なことをそのときの私は忘れていた。理系の高村の「基礎」と小学二年生から文系を自称する私の「基礎」は当たり前だが違うのである。火星と冥王星くらい違うのである。まあ、この例え自体、理系センスがゼロなのだが。いずれにせよ高村推薦の素粒子本が自宅に着くや否や私は秒殺されたのだ。数学をやり直す意味もこめて数学関係の本も何冊も買ったが、関係者には申し訳ないが、いまや所在もわからない。眠かったことは覚えているが。今年は公私共に激動の一年だったが、本に関しては「いつかきた道」をたどった一年だったのだ。

私は決めた。もう多くを望まない。数式なんてわからなくてもいい。素粒子もわからなくてもいい。高村に嫌われてもいい。ただ、選書を間違った結果の気もするが、このままだと手ごろなサイエンス本まで読めなくなるくらいまでに心が折れてしまう。わくわくできなくなってしまう。「色物」馬鹿になってしまう。そんな時に、書店で何年かぶりに見かけたのが本書である。

今回紹介する本は御存知の方も多いかもしれない。旧版が90年と99年に出ているからだ。9月に発売された新版ではフルカラーになっているのが特徴だ。肝心の中身だが読み物というよりは絵本だ。われわれの身の回りの道具や機械を200種以上取り上げ、原理や働きをイラストで紹介してくれている。取り上げる内容は、缶切りや爪切り、ジャイロスコープ、芝生のスプリンクラーから潜水艦、ガソリンエンジン、核融合やCPU、フラッシュメモリーまで多岐に渡る。

単なる機械の説明でなく、動きの原理から発明を紹介してくれるところが本書の良い点だ。動きのからくりから説明してくれる姿勢は本書の最初の項目が「斜面」、次が「てこ」であることからも伺えるだろう。油井の掘削装置を解説するのに摩擦から説明してくれるし、ホッチキスや自動車のサスペンションを語るのには、ばねの原理から教えてくれる。

小学校高学年か中学生あたりに読んでいたら私の人生も変わっていたかもとペラペラ捲りながら思ってしまう。人生が変わらなくても、こうした本を読んでいると少年のような気持ちで、関連本を突っ込んで読みたくなるのだ、知りたくなるのだ。文系一直線の私のほんのわずかな理系魂(というよりも機械魂なんだろうね…)を刺激してやまないのだ。結果的には、興奮して関連本をタイトルだけでAMZONで発注して、また「いつかきた道」をたどるんだけど。ガチガチの文系の人は眺めるだけで何か新しい発見があるはずだ。

繰り返しになるが、読むというよりは眺めるものであり、事典の役割を持つ本である。あなたには不要と感じても、理科嫌いのあなたの妻や夫や彼女や彼や子供向けに持っていても良いのではないだろうか。入学祝いや記念品などにプレゼントしても喜ばれそうだ(字の大きさと漢字の関係で小学校低学年では厳しいかもしれないが)。値は張る本だが長く使えることを考えれば、一家に一冊あっても良い本である。

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図解で詳しく 宇宙と素粒子のしくみ

図解で詳しく 宇宙と素粒子のしくみ
  • 作者: 京極一樹
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2011/08/26
書評、書いてよ・・・。
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