『暮らしを支える「ねじ」のひみつ』

成毛 眞2009年07月06日 印刷向け表示
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タイトルは『「ねじ」のひみつ』だが、「秘密」はさほど語られていない。内容はもっぱら『「ねじ」の基礎』だ。とはいえ、この本に書かれている以上に「ねじ」に関する知識をお持ちの方は、「ねじ」で飯を食っている人であろう。普通の人はこの本1冊で一生分以上の「ねじ」の知識を得ることになるであろう。別の言葉でいえば、本書で書かれている「ねじ」の知識が持たなくても、普通の人の生活には全く支障はない。

新書版214ページ、ほぼ全ページが3色刷りかフルカラーなので、じつに理解しやすい。4種のタッピングねじの違いとか、同じく4種の止めねじの先の形状とか、7種のゆるみ止め法とか、実際に図版があるのでなーるほどね、と理解できる。しかし繰り返しだが、そんなことを知らなくても、生活には全く支障はない。

ねじの材料として使われる合金にはニッケルクロム鋼とかクロムモリブデン鋼とかがあり、ステンレス鋼にはマルテンサイト系とかオーステナイト系とかがあり、アルミニウムにはAl-Cu系とかAl-Zn-Mg系とかがあるなども細かく知ることができる。当然、そんなことを知らなくても、生活には全く支障はない。

第4章にいたると、いよいよ「ねじ」の作りかただ。ナットを大量生産するための自動ねじ立て盤とかプラネタリ式の転造機とか簡単な構造なのだが面白い。というわけで、どんどん読んでいって「ねじ」についての一生分の知識を得ることができるわけだ。そもそも良書とは、たとえば19世紀のパリの風俗についての本であっても、そこに書かれていることを知らなくても生活に全く支障はない本のことだ。ボクにとっては何かの役に立つ本はたとえ古典であっても、実用書なのである。本書はしたがって良書ということになる。しかし、「ねじ」のことをそこまで知らなくても良いかもしれない。本の選択はじつに難しい。

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