『芸術新潮 9月号』 エジプト美術世界一周

成毛 眞2009年09月01日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
芸術新潮 2009年 09月号 [雑誌]
作者:
出版社:新潮社
発売日:2009-08-25
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂

久しぶりに「芸術新潮」を買った。ここ1年の特集は「手塚治虫」「運慶」「阿修羅」「トーヴェ・ヤンソン」=ムーミンの作家「トミ・ウンゲラー」=絵本作家とかだったから、ぜんぜん興味を持てなかった。今月号は東京都美術館で開催中の「トリノ・エジプト展」にちなんで「エジプト美術」特集だ。エジプト美術を所蔵する世界のミュージアムを旅するという企画になっている。

カイロ・エジプト美術館、トリノ・エジプト博物館、大英博物館、ルーヴル美術館、ベルリン国立エジプト博物館、メトロポリタン美術館の所蔵品を紹介している。早稲田エジプト学研究所の近藤所長の会話形式の解説が簡潔にして軽快に語られていて大変に良い。とりわけカイロ博物館の聞き手との対話が面白い。このパートの原稿おこしの担当者が違うのかもしれない。

じつは本書にあるほとんどの収蔵品を間近で見たことがある。しかし、ベルリンにはまだ行ったことがないので、垂涎の「着色石灰岩のネフェルティティ胸像」は見たことがない。ベルリンでは10月に新博物館がリニューアルオープンする。これで東西ドイツにちりぢりになっていたベルリン・コレクションがやっと1ヶ所に集まるのだという。こりゃ何をおいても行かなければならないだろう。ついでにムンスターのパンツァーミュージアムなんかに寄ったりはしない、と思う。

話はもどって、その「着色石灰岩のネフェルティティ胸像」は1912年にエジプトから略奪同然でドイツへと運ばれたものだ。近年になってエジプトは里帰りさせてほしいと要請してきているのだが、ドイツは保全状態を理由に断っている。

絶対にエジプトに返してはいけないと思う。地球上で最悪の空気汚染都市であるカイロにあって、カイロ博物館はフィルターなしで常換気されているのだ。つまり、所蔵品は毒ガスにさらされている。本書にも写真が掲載されている絵画「マイドゥームの雁」などもこの空気のなかでは数百年ももたないかもしれない。これは4500年前に描かれたもので、カイロ博物館ではテキトーに展示されていて、エジプト人の子供が触ったりしているのだ。

ともかくこの号の1400円はお買い得。

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら