『ぼくらの頭脳の鍛え方』

成毛 眞2010年01月26日 印刷向け表示
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ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
作者:立花 隆・佐藤 優
出版社:文藝春秋
発売日:2009-10-17
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じつは『本は10冊同時に読め』の続編を執筆中である。そのために何冊か最近の読書本を読んでみたのだが、やはり本書が面白かった。佐藤優は相変わらずの衒学趣味の匂いがする「知の怪物」なのだが、あくまでも「文系の知」でしかないように思えてしまう。つまり世界の半分しか知らないということになる。しかし、その世界の半分について佐藤はまさに比類なき「怪物」だ。

それに比べて立花隆は本物の「知の巨人」である。その立花が「あくまで仕事を一般教養のための読書についてであり、趣味のための読書についてではない」と前置きして読書に役立つ14カ条というのを1982年に書いている。その中から抜粋してみる。

1.「金を惜しまず本を買え」、全く同感だ。

2.「1つのテーマについて類書を何冊か求めよ」、まったく同感だ。

3.「選択の失敗を恐れるな」、まったく同感だ。

4.「自分の水準に合わないものは、無理して読むな」、まったく同感だ。

7.「本を読みながらノートを取るな」、まったく同感だ。

8.「人の意見やブックガイドのたぐいに惑わされるな」、まったく同感だが互いに自己矛盾。

9.「注釈を読みとばすな」、まったく同感だ。

10.「本を読むときには、懐疑心を忘れるな」、まったく同感だ。

13.「翻訳は誤訳、悪訳がきわめて多い」、まったく同感だ。


そして最後の14条は「大学で得た知識など、いかほどのものでもない。社会人になってから獲得し、蓄積していく知識の量と質、特に20代・30代のそれが、その人のその後の人生にとって決定的に重要である。若いときは、何をさしおいても本を読む時間を作れ。」である。

本書のなかでも立花が含蓄深い。「今、教養という言葉は死語になりつつある。万巻の書を読みつくせる人はいない。結局は、人生の残り時間を確認しながら、最大の成果を得られるように計画を作るしかない。(そのためには)知識の系統樹が頭に入っていることが大切だ」で読者にお勧めなのは「巨大書店の書棚をすべて隅から隅まで見て回ることです。」というのだ。まったく同感「はい、先生!実践しています!」

その二人がなぜかホリエモンについて本書で話している。さすがにこの分野では二人ともすこし誤解しているようで可愛げがある。ゲノム解読の先にあるプロテオミクスなどについて語り合っていないことをみて、嬉しくなる。理系雑学だけは佐藤優に勝てるかもしれない。

ともあれ、本書で立花隆がとりあげた本と、これからボクの取り上げようを思っている本の重複がスゴイので、本当に困ってしまった。どう考えてもこちらの分が悪い。科学と軍事を読まなければならないという立場そのものが同一なのだから仕方ないのかもしれない。

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