『アフリカ』 資本主義最後のフロンティア

成毛 眞2011年04月05日 印刷向け表示
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アフリカ―資本主義最後のフロンティア (新潮新書)
作者:「NHKスペシャル」取材班
出版社:新潮社
発売日:2011-02
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1994年、アフリカの小国ルワンダで民族対立が発生し、総人口780万人のうち80万人以上が100日間のうちに虐殺され、210万人が国外へ流出した。しかし、2000年に現在のカガメ大統領が就任すると、一転して急速な経済復興を始めたのである。いまやIT立国をめざし、アフリカのシンガポールとも呼ばれるルワンダ復興の秘密はどこにあったのだろう。

『アフリカ』の著者である「NHKスペシャル」取材班はこの奇跡の国ルワンダをはじめとして、アフリカ諸国を丹念に取材し、番組をつくるとともに本書を時代の記憶として残した。他に取り上げられている国や地域はケニヤ・ウガンダ、エチオピア・ザンビア、タンザニア・ボツワナ、ジンバブエと南アフリカである。

それぞれのテーマは異なり、サバンナの勇者マサイ族のIT化、知られざる中国企業の大進出、地下資源がもたらす経済躍進、独裁者がもたらした不均衡など、じつに多様な視点からアフリカを眺めているのだ。

とりわけ印象的だったのはIT化の恩恵をアフリカ諸国が受け始めていることだ。マサイ族は携帯電話を銀行通帳の代りに使う。いまでは700万人が送金するときなどにも利用しているというのだ。

タンザニアで金を手掘りする男は携帯電話でニューヨークの取引価格を検索してから、金を売り渡す。エチオピアでは中国企業が独占的に通信インフラ建設を請け負っている。アフリカの9億人市場を狙っているのだ。

ところで、取材班はルワンダで一人のビジネスマンに出あった。虐殺から逃れた彼は日本からの中古車輸入を思いつき、大阪の中古車屋で修業した。そして、ついにはルワンダの不動産王となったのだ。彼の言葉がじつに印象深い。「日本人から多くのことを学んだよ。一番大切なことは、己を信じて全精力を仕事に集中すること。そうすれば必ず成し遂げることができるという自信だった」

世界共通の復興に向けての言葉かもしれない。

(週刊朝日4月8日号 「ビジネス成毛塾」掲載)

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