『参謀は名を秘す―歴史に隠れた名補佐役たち』

新井 文月2011年02月20日 印刷向け表示
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真の参謀とは何か
いま軍師や兵法を仕事に生かそうとする本が溢れているが、実際の参謀はどうだったのか。本書では参謀や軍師達は、戦闘や外交において本当にどれだけの仕事をしたのかを色をつけずに検証している。このため自慢話中心のビジネス書を読むくらいなら、本書を読む事をオススメする。

参謀の仕事はトップに対しての情報収集・分析・複数提案であり、トップはこれらを判断し決定する役割だと著者は述べている。だが参謀が力を発揮しすぎてフロントに表れてはいけない。このパターンは国が滅びる危険性を多く含む。本書では駿河国の今川義元における太原雪斎をその例としてあげている。雪斎は戦術以外にも外交に優れ、また戦闘時も前線に出撃し、風貌は弁慶の如く派手であり大名さながらに指揮をした。義元は当主に推薦してくれたこの僧に対して恩があり、制する事ができなかった。家臣の間には「雪斎様は出過ぎである」と不平不満が募る。

また一方、大阪冬の陣において豊臣側として参戦した真田幸村はどうか。確かに彼の発想で築城された臨時の出城「真田丸」は、局地戦では徳川の軍勢に打撃をあたえているが、戦争自体には負けている。参謀が自分のエゴにとらわれているようでは、大局を眺め勝利に導くブレインには程遠い。

本書はこの点をふまえ、現代では参謀とトップの機能を合わせる事が重要と述べている。毛利元就は参謀とトップの役割を一人でこなした。その中でも1番大事にしたのは、三本の矢に示される結束力である。元就は結束力において末端の足軽まで集中したように、著者はブレイン自体を社員全員に組み込み、ひとりひとり参謀の頭脳を持つべきだと論じている。結束力を持った参謀チームの作り方は数々のパターンを紹介しているので、本来の参謀の力をこの本を通じて大いに活用してほしい。

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