『かぜの科学―もっとも身近な病の生態』ジェニファー アッカーマン (早川書房)

新井 文月2011年03月31日 印刷向け表示
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手洗いで風邪は防げる

前回の本のキュレーター勉強会で、装丁がいかに重要かが証明された。可愛いカバーだが、とにかく色使いが良い。最近、色々な商品を見る度にデザインが「進化」しているな、と感じる。それとは逆に前は最先端と思ったデザインも時間がたてば古さを感じてしまう。

今年に入りNPOの活動として、都内ホテルから廃棄される石鹸を回収していた。これが今は震災の影響もあり被災地に送る作業となっている。避難所ではまだ寒い場所もあるだろうし、風邪もひきやすいだろう。

本書を読めば風邪に対して正しい知識を得る事ができる。また実際にかかった場合でも冷静に対処できるようになる。身近な問題だけに興味深い。著者はナショナル・ジオグラフィックなどに寄稿するサイエンスライターだ。

ズバリ結論を先に言うと、風邪は手洗いで防げる。しかも石鹸の手洗いが最も効果がある。風邪の原因は約200種類のウィルスだ。風邪をひきたくないのであれば、病原菌を避ければよい。さらに顔を触らなければ最上の予防策となる。本書によると人はPCでの作業中、5分に1回から3回のペースで顔を触っている。極端な理論で言えば、欧米の握手の習慣を日本式のお辞儀に変える事で、かなりの感染予防が期待できる。

ちなみにこれまで多数の人が信じていた、寒い格好をする・ビタミンCの不足・乾燥した部屋などはすべて直接の原因にはならない。風邪の諸症状はウィルスが引き起こすのではなく、ウイルスを排除しようとする人間の免疫反応なのだそうだ。そしてウイルスであり細菌ではない。つまり細菌をターゲットとした抗生物質や抗菌石鹸は効果がない。人により風邪ウイルスへの免疫反応、くしゃみ、鼻水、発熱の症状は人により異なる。薬は他の副作用を引き起こすので飲まないほうが良い。症状は本来の治癒力により平均7日間で回復する。

※ウイルスは細胞膜がなく人の細胞に寄生

※細菌には増殖を抑制する抗菌薬が有効。抗生物質と合成抗菌薬がある

手洗いについてもう少し。アルコール手指消毒液も良いが、手の表面にまんべんなく擦り込むのは難しい為(細菌には効力あり)、可能であればウイルスをより除去できる(洗いながせる)石鹸が良いのだ。つまり小学生の時に、半ば強制的にやらされた手洗いの徹底は正しかったのだ。

だがドアノブなど触らないなど神経質になってはいけない。本書は治ると思えばよくなるプラシーボ効果に関しても実証しており、その逆もあるからだ。活動的な人間もまた風邪をひきずらいというデータも、本書にはあるのだ。

◎ユニセフ 世界手洗いの日 手洗いダンス振付け:森山開次

◎NPOハッピーステップス

被災地や学校で固形石鹸が必要な方は、用途を記述の上、こちらにご連絡ください。

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