もし大前研一が都知事だったら 『民の見えざる手 デフレ不況時代の新国富論』 大前研一

村上 浩2010年07月18日 印刷向け表示
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採点:★★★★☆

相変わらずの大前節。ビジネス書最近読んでないなーと思う人にもおススメ。

いろんな雑誌の連載をまとめた本なので、一つの大きなテーマに基づくストーリーとはなっていないが、どのトピックから飛ばして読んでも面白い。通勤などの空いた時間にぴったり。

しかし、この人は相変わらずネタが豊富だなー。高橋俊介さんや内田和成さんとお話したときも思ったけど、どんな話を振られても答えられるネタがないと一流のコンサルタントとは言えないんだろう。


民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論 民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論
(2010/07/14)
大前 研一

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もう選挙には出ないらしいが、非常にもったいない。女子高生がドラッカーを読んだらチームが強くなるらしいが、大前研一が都知事⇒代議士⇒首相とかなってたら日本も随分違ったんだろうか・・・

大前氏の提言は明確だ。人口が増えて高齢化が進み、かつ若者が「草食化」している日本にはある程度見切りをつけて、現在そして今後の成長エンジンであるアジア(特に中国)へ人も金も投資しろ、ということだ。確かに、ラグジュアリーブランドが売れなくなったのは、「高級ブランドにはそこまでの価値がない」ことが日本の消費者にはばれてしまったからだろうし、中国の消費者にはまだばれてない。

日本の高度成長もその要因の大部分が生産年齢人口のボリュームが大きくなる「人口ボーナス」のおかげだとも言われているが、いま「人口ボーナス」まっさかりの中国で勝負することは全く正しい。けど、それって今まで日本でやってきたことを中国で(上手に)焼き直すってこと?孫さんが言っていた「タイムマシン経営」なのだろうか?「本当は価値がない」と思っているものを中国人に売りつけるのは気が引けるなぁ。

本書で取り上げられている異色の経営者リチャード・スピンクスは、上記のアイデアをまさに、身をもって、体現している。本書を読むまで知らなかったが、彼はEU加盟が予想される国に行って荒稼ぎして、その国がEU加盟したら次のEU加盟予想国に行って次々とビジネスを起こしているらしい。まさに1人タイムマシン経営。

アップルやグーグルの事例を引っ張るまでもなく、成熟市場でもイノベーションによる成長は可能だろうが、当然競争は激しくなる。グローバルカンパニーとしては、勝てる市場へきっちり投資すべきなのだ(当たり前か)。アジア発グローバルカンパニー代表サムスンの留学制度はかなり驚きだ。ここまでやるからあれだけの利益を上げているのか、あれだけの利益をあげているからここまでのとうしができるのか。焼け野原の後のソニーやホンダに出来たのだから、足りないのは「危機感」と次男なのか。

後半では大前流定年後の楽しみ方も提案されているが、我々「草食」世代にはピンとこないかもしれない。しかし、現在進行形で起こっている様々な事象が大前流に解説されているので、「ウンウン」とか「いや、違うだろ」とか唸りながら読んで頭の体操をしよう。本書に載っている事例で知らなかったことが多いのが悔しい・・・

もっと情報ソースを広げなければ。

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