思い込みの正体 『デフレの正体』

村上 浩2010年08月03日 印刷向け表示
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採点:★★★★★

ぶっちぎりで面白い!!著者も言ってるけど、全ての産業人必読の書。皆におススメ

あちこちのブログで話題になっていながら、Amazonではしばらく在庫切れだったのでやっと読了。著者の言うSY(数字読めない)、GM(現場を見ない)、KY(空気しか読めない)にならないためには、自らの目で見て、自らの頭で考えるしかない。本書を読んだらきっと、統計局のHPを検索したくなるはず。

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
(2010/06/10)
藻谷 浩介

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シナリオプランニングの際には(インパクトが大きい×不確実性が高い)未来についていくつかのシナリオとその打ち手を考えるのが定石だが、(インパクトが大きい×不確実性が低い)未来を皆が見落としていると本書は指摘する。数少ないその要因は人口動態だ。「100年に一度」かどうかも疑わしい景気(という掴み所の難しい概念)よりも、確実に「2000年に一度」のレベルで訪れる高齢者人口の急増と少子化にしっかり備えるべきなのだ。(高齢者の増加と少子化は本来全く関係のない独立の事象なので、少子高齢化という言い方はやめるべきだというのが著者の主張)

このような視点から今後の日本が立ち向かうべき課題を提示した本には、人口負荷社会もあるが、本書は更に踏み込んだ論点が沢山出てくる。団塊の世代の人口の動きによるバブル発生と崩壊を説明する箇所は驚くほど簡潔で、しかも説得力がある。不思議なのは、このようなこれまで話を全くと言って聞いたことがないことだ。自分の不勉強も当然あるだろうが、著者も横山禎徳氏が1994年の著作以外では聞いたことはないようだ。

著者は「常識」を疑う重要性を繰り返し主張する。「景気が循環する明確な根拠はあるのか?」「市場は長期視点で見れば成長するなんて本当か?」自分の頭で実際の数字(率でなく絶対値の重要性も繰り返し主張される)を掘り下げる訓練をしなければならない。自分自身なんとなく、東京はがんがん若者が増えており、沖縄は他見と比べてどうしようもなく景気が右肩下がりだと思い込んでいた。反省

著者が掲げる将来の日本像は明るい。取り組むべき課題は山積みだが、その課題は明確でかつ、予測可能なのだ。高付加価値領域で日本が戦っていけるのか、次から次へと第2次産業がより貧しい国へ移っていった後に終わりはあるのか。様々な考えはめぐるが、供給>需要の現在・これらかの日本を認識するには最良の一冊。

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