『かぜの科学』

山本 尚毅2011年04月04日 印刷向け表示
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ジェニファー アッカーマン
早川書房
発売日:2011-02

「現在のところ、私たちが風邪に打ち勝ったり期間を短縮したりするには信心しかなさそうだ」

根性論を思わせるかの一文であるが、個人的にはしっくりきているし、これが本書の結論なのではと考えている。僕は「風邪は感染しない」ということを長らく信じてきた(きっかけは姉の一言だった)し、本書を読んだとしても、未だにそれは覆らない。だって、かぜを科学している本書が信心しかないと言っているんだから。

「ヨウ素を飲めば、放射能対策によい」という誤報が流れた今回の原子力・放射能騒ぎ。風邪の治療法でも近しいものが過去にあったし、今回以上で、一時は治療法として認められていた。それは1800年代後半のこと。アメリカ大統領が風邪の治療に塩素吸入を一日一時間・三日続けて行っていたのだ。また、ビタミンCが風邪に効くなんてのは、ノーベル平和賞・化学賞を受賞した研究者が発表したことだが、科学的には効果がないとすでに解明されている(体には悪くないから、ヨウ素と違って引き続き人は騙されて摂取し続けている)。今このご時世なら、たとえ「風邪」だとしても、放射能で病気になったと言いかねない。それくらい「風邪」は解明されていない。

今回の原子力事件でも話題になっているが、「安全」と「安心」は異なるということは風邪においても同様である。医者に行けば、「安心」なのである。誤診をする「安全」でない医者がいるにも関わらず、病院に行く。薬を飲めば「安心」なのである。「安心」したいから、「安全」でなさそうな消費期限の切れた薬は多くの人は飲まない。プラシーボ効果(自分が治療を受けていると信じ込んでいると、実際にはまったく薬効成分を含まない物質を服用している場合でも、症状が嘘のように消えてしまうことがたびたびある。)が本書の後半に登場する。以下多くの人々が風邪に効くと信じていることを列記する。それが本当に効くのか、プラシーボ効果であるのかは本書を買って確かめてみてほしい。

【かぜに効くといわれているもの】

マスク、手洗い、うがい、大量の水分補給、運動、抗生物質、服を着込む、温かい飲み物、部屋の加湿、よく眠る、注射、慢性的なストレス、漢方、ビタミンC、「天然の」風邪薬、うがい薬、断食…そのほかたくさんある。

本書には驚きがたくさんあるはずだ。

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