『踏みにじられた未来 御殿場事件、親と子の10年闘争』新刊ちょい読み

東 えりか2012年01月21日 印刷向け表示
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踏みにじられた未来
作者:長野 智子
出版社:幻冬舎
発売日:2011-12-23
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局のアナウンサーから転身して社会派キャスターになった女性はそれほど多くはない。その中でも長野智子は確固とした地位を築いたひとりである。『踏みにじられた未来』は担当した番組が関わってきた、冤罪事件ではないかと思われる事件を検証したものである。

2001年、強姦未遂容疑で10人の高校生が逮捕された。後に「御殿場事件」と呼ばれるこの案件を「ザ・スクープ」という番組のスタッフとして長野が聞いたのは2003年のことであった。少年たちは全員容疑を否認していた。

事のあらましはこうだ。2001年9月16日、18歳の女子高校生はバスケットボールの試合の帰り、午後7時55分ごろに御殿場駅に着いた。そこで中学の男子同級生に呼び止められる。10人もの男子に拉致されるように中央公園に連れていかれ、そこで暴行を受けた。遅い帰宅を訝った母親に告白し、翌日被害届けが出されている。捜査の後、捕まった高校生はなんと最長で264日も拘留されたのだ。彼らは検察が作った作文にいやいやながらサインさせられていた。

その後の裁判で彼らは全面否認する。親たちの懸命なアリバイ探しの中で、少女は後に被害にあった日を変更し、天気や周囲の状況まで嘘であったことが発覚する。しかし検察は容疑を変えず、裁判はろくな審議もなされないまま最高裁まで及び有罪が確定してしまった。

長野は嘆き悩む。日本の司法はどうなってしまったのか、冤罪事件に際してマスメディアはどうしたらいいのか。出所したかつての少年たちは再審に向け歩き始めた。行く末を見守りたい。

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