『震災ビジネスの闇』 新刊ちょい読み

山本 尚毅2012年02月15日 印刷向け表示
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震災ビジネスの闇 (宝島SUGOI文庫)
作者:夏原 武
出版社:宝島社
発売日:2011-12-06
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本を読んでいて気持ちが悪くなったのは、久しぶりだ。東日本震災では直後に強盗や暴動を起こさない日本人の行儀の良さが世界のメディアに取り上げられ、評価された。しかし、その裏側では隙を狙ったブローカーたちが獲物を狙っていたのだ。3月中旬、とあるリフォーム会社が求人広告を出していた、それは東北で震災被害を受けた住宅へのリフォーム営業の求人であった。家はリフォームする必要があってもなくても関係ない。少々の不正や写真偽造を行いながら、人々の不安を煽り、受注していく。今は辞めてしまった元営業マンは容易く実績を積み上げられたと語る。

あのがれきの山で価値があるものは木材である。これから木造で家を建てるまたはリフォームを検討しているならば、その木材の出どころには注意した方がいい。水浸しになった東北の木材が混ざっているかもしれない。津波に流されたパソコンや携帯電話は都市鉱山と化す。津波に流された山積みの自動車もパーツごとに分ければ、商品の一つになる。

もちろん都内でも震災や原発事故に便乗して、機能は至って普通だが、浄水器やマスクが訪問販売により、高額で騙し売られていった。スーパーやコンビニで震災後に起こった物不足、メディアから流れ続けるネガティブな情報が人々の不安を煽ったことも影響している。うがい薬や緑茶や放射能を吸収すると言われたサプリメントはこの時期、かなり売れたに違いない。その情報の発信者が製造メーカーや販売店だったら、ステマで許される範囲ではないだろう。そうでないことを祈りたい。

不謹慎かもしれないが、読み進めれば気持ち悪さや怒りを超えて、メインストリームから追いやられたヒトたちがしたたかに生きる智慧にすら思えてくる。タイやインドで観光客に狙いを絞って値段を吹っかけてくるタクシー運転手や土産屋のおばさん、インド・ムンバイのスラムのリサイクルビジネス,ゴミから資源を取り出すスカベンジャーと類似した現金獲得方法だ。もちろん弱者を騙すことは許されることではないが、、、。

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