『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』本好きにしか判らないこの楽しさとおかしさ

成毛 眞2017年07月09日 印刷向け表示
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もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら
作者:神田 桂一
出版社:宝島社
発売日:2017-06-07
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もしあなたが軽度の活字中毒を自任しているとしたら、おススメの一冊だ。

内容はじつに他愛もない。カップ焼きそばの作り方、すなわちお湯をいれて3分待って湯切りし、ソースを混ぜて完成させるまでのことを書き起こしたものだ。

それをもし村上春樹や太宰治、ドストエフスキーやコナン・ドイルが書いたらどうなるかというパロディである。

登場するのは人物ばかりではない。『暮らしの手帖』や『週刊プレイボーイ』の記事風や、もし村上龍と坂本龍一が対談したらどうなるかという企画ものまで100本ほどの文章で構成されている。

もともとは著者の一人である菊池良氏が1年ほど前、ツイッターに「もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある『作り方』を書いたら」という記事を投稿したことがきっかけだった。

それ以来、ツイッター上では定番のネタとなり、数多くのパロディが投稿されつづけている。中には新約聖書風や尾崎豊の歌詞風まで登場しておおいに盛り上がっている。

本書はその元祖が一念発起し、フリーライターの神田圭一氏、漫画家の田中圭一氏と組んで一冊にまとめたものである。

宇能鴻一郎の艶っぽい文章や三島由紀夫の格調高い文章など、おもわず笑ってしまうこと請け合いだ。なかでも評者に大いに受けたのは、相田みつをのパロディだ。

湯をいれる
五分まつ
湯切りをする

これだけなのに
むずかしい
すぐに食べたい
人間のわたし

じつにそれらしいではないか。本好きにしか判らない楽しい一冊だ。

※週刊新潮より転載 

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