『無脊椎水族館』得体のしれない彼らに会えば、人生が救われる、新しい発見がある!

東 えりか2018年08月06日 印刷向け表示
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無脊椎水族館
作者:宮田 珠己
出版社:本の雑誌社
発売日:2018-06-21
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 動物園は明るすぎる。園内は賑やかで、陽気で社交的でなければ浮いてしまいそうだ。

ウミウシ

その点、水族館は落ち着く。全体が薄暗く静かで、どんなに陰気で孤独でも変に思われない。

タコクラゲ

水生ほ乳類には興味のない宮田珠己が向かうのは無脊椎動物の水槽の前。たいがいそこは空いていて、思う存分眺めることができるのだ。本書はそんな安寧の場所を求めた国内水族館の探訪記である。

コブシメ

訪れたのは葛西臨海水族館、新江ノ島水族館など関東近郊から、アクアマリンふくしまや加茂水族館など東北、海遊館や串本海中公園など近畿地方、そしてかごしま水族館まで19か所。友人で人生の路頭に迷うモレイ氏をお供に気楽な旅だ。

クラゲやウミウシ、イソギンチャクやイカ、エビにカニにタコやサンゴ。150種以上の無脊椎動物をカラー写真付きで紹介していく。魚は嫌いといいながら、頭がハンマーの形をしているシュモクザメやお腹じゅうが顔みたいなエイには夢中になる。大水槽の下に立ち、大きな魚が泳ぐところを観ると興奮もする。

フリソデエビ

世の中では《おじさんひとり水族館》がブームだと宮田は断言する。どうやら疲れた男が向かうのは水族館の暗がりらしい。訪れた先には必ずそんな佇む男がいた。男が水族館で見るもの、それは神秘の世界なのだという。確かにどの水族館に行っても得体のしれない無脊椎動物に出会い、新しい発見があった。

タコブネ

紀行エッセイストとして人気の宮田珠己だが、今回は仕事ではなく自分を癒すために書いたのだという。フリーランスの物書きは将来の不安でいっぱいだ。そんな傾きつつある精神を救ってくれるのは海の生きものを眺めること。生きることの処方箋として水族館に通う。水槽の中を見つめるだけで人生が救われることがあるらしい。

ウミシダ

酷暑が続き、息苦しい。無性に水族館に行きたくなった。(週刊新潮8/2より転載  写真は編集部よりお借りしました)

 

 

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
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