『現実を視よ』新刊超速レビュー

田中 大輔2012年10月05日 印刷向け表示
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現実を視よ
作者:柳井 正
出版社:PHP研究所
発売日:2012-09-21
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Ask not what your country can do for you,

Ask what you can do for your country.

国があなたのために何ができるかではなく、

あなたが国のために何ができるか、問いかけてください。

ジョン・F・ケネディの有名な演説の一節である。ファーストリテーリングの代表取締役会長兼社長である柳井正氏が、この本で言いたかったことは、この言葉に集約されている。

このままではダメになる。そういった危機感を持っている人が世の中にはどれだけいるだろうか?日本は変わらなければいけない。そのためにはまず自らが変わる必要がある。いま、この国に必要とされているのは一人ひとりの意識改革なのだ。そのきっかけに読んで欲しいのが今日紹介する『現実を視よ』である。 

誰かが変えてくれるだろう。そう思っているうちはいつまで経っても何も変わらない。当事者意識はなく、評論家きどりで傍観者となっているのがいまの日本人である。政治家や官僚、社会が変わってくれることをぼんやりと望んでいるが、そんなことをのんびり待っている時間はもはや残されていない。日本の財政は皆が思っているより危険な状況にある。このまま国民の意識と行動が変わらなければ、3年以内に国家破綻のXデーは訪れると柳井氏は危惧している。

現在の累積債務残高のGDP比率をみると、ギリシャよりもひどい状況にあるという。1000兆円を超える累積債務を抱えていながらも、税収の2倍以上の予算を組み、足りない分を国債でまかなって平然としている。これを狂っていると言わずしてなんという。こういったことが平然と行われている政治を柳井氏はこの本で痛烈に批判している。

政治が大嫌いで、政治的な発言をいままでほとんどすることがなかった柳井氏は、この本を書かずにはいられなかったという。

かくすれば かくなるものと 知りながら

やむにやまれぬ 大和魂

これは吉田松陰が詠んだ歌である。かつて吉田松陰が覚えたであろう危機感を柳井氏もいま感じているというのだ。一人でも多くの日本人に、危機感を伝え、誇れる日本を取り戻すには何をすべきかを、一人ひとりに考えて欲しかったからだ。この本にはその熱い想いがつまっている。

いま必要なのは、現実を直視すること。大半の日本人は上の上であると勘違いしているが、現在の日本は中の下にすぎない。そしてアジアの人たちに勝るものはなにもない。この現実を受け止めるところから始めなくてはいけない。

この20年間、世界はもの凄いスピードで、変貌を遂げてきたが、その事実に日本人はきちんと向きあおうとしなかった。過去に成功したように見えたやり方にしがみつき、自らのやり方を変えようとしなかった。その結果がいまの、「何よりダメな日本」である。この姿は名著『失敗の本質』で言われていた日本軍の姿と重なる。これが日本人の国民性なのだろうか? 

この現状を打破するために必要なことはなにか?それは「志をもって生きよ」ということである。古めかしいことを…と思うかもしれない。しかし一つのことに一生懸命になって、死ぬ気で頑張ることでしか、人は成長できない。求めない生き方というものがもてはやされているが、生きるということは求めるということである。 

また「理想をもて」とも柳井氏はいう。それも大きな理想をもって行動しろといっている。人生の主役は自分自身。自分の中にどれほどの可能性が詰まっているかは、試してみないとわからないのだから……。高い理想を胸に抱き、その理想を追い求めて一人ひとりが行動していけばきっとこの国はよくなる。その言葉を信じて私もこれからの人生を生きていきたい。

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