『日本近海に大鉱床が眠る』 プレジデント6月14日号書評

成毛 眞2010年05月24日 印刷向け表示
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日本近海に大鉱床が眠る ―海底熱水鉱床をめぐる資源争奪戦― (tanQブックス)
作者:飯笹 幸吉
出版社:技術評論社
発売日:2010-04-09
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PRESIDENT (プレジデント) 2010年 6/14号 [雑誌]
作者:
出版社:プレジデント社
発売日:2010-05-24
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今年4月、中国はミサイル駆逐艦や潜水艦など10隻で編成される東海艦隊を沖ノ鳥島周辺に派遣した。鳩山首相の安全保障に関する無知・無策ぶりと、小沢幹事長の中国への朝貢外交的な傾斜ぶりを嘲笑ってのことであろう。

この島は中国軍が洋上演習中に誤爆でもしてしまおうものなら、島である法的地位を失うかもしれないほど小さく、はかないのだ。

ところで、日本の国土面積は37万平方キロだ。いっぽう、沖ノ鳥島の排他的経済水域の面積は40キロもある。問題はこの40万平方キロの海底になにがあるのかということだ。

沖ノ鳥島は海山が海面近くまで成長してできた島だ。近くには冥王星海山など多数の兄弟海山が存在する。海山はプレートが沈みこむエネルギーでつくられ、地中深くから熱と鉱物資源が噴出してできあがったものである。

本書はその海山の中に存在する熱水噴出孔を見つけることに人生を掛けた研究者の物語である。著者自身の言葉によると「熱水鉱床ハンター」だ。

当然のことながら、調査船に乗り組み外洋を走りまわることになる。深海潜水艇に文字通り潜りこむ。水深2000メートル近い漆黒の闇で、数百メートル平方に存在するターゲットを見つけに行くのだ。

1997年の夏。著者はついに明神海丘カルデラで熱水を噴出している「チムニー」の群れを見つける。チムニーが作りだした海底鉱床も確認。「サンライズ鉱床」と名付け、その論文は『サイエンス』に掲載されることになったのだ。

驚いたことに、日本の法律では外国人でも日本に子会社を設立すれば、早い者順で採掘権を取ることができるらしい。事実、このサンライズ鉱床発見から8年後には英国のベンチャー企業ネプチューン社が鉱区申請をしている。しかし、幸いにも日本の海洋研究開発機構が科学研究を目的として先に鉱区申請をしていた。

本書によれば、海底調査の機材開発でも日本は遅れをとっているらしい。自立型無人探査機のAUVや遠隔操作型無人探査機のROVなどはアメリカやカナダの独壇場だという。また潜在鉱物資源量を評価する海底着座式BMSという装置も米国製だ。これでは海洋国家日本とはいえないのではないか。

ちなみに日本のサンライズ鉱床の資源量は9百万トン。金が20PPM、銀が1213PPM含まれるという。つまり、金だけでも約6000億円に相当する180トンが採掘できるというのだ。

このような鉱床が日本の深海には多数存在しているのだ。まさにフロンティアであり、著者ならずとも血沸き肉躍るような気分になってくる。このような研究が民主党の事業仕分けに引っ掛からないことを祈るばかりだ。次世代海洋資源調査船は今年発注されたばかりなのだ。

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