『そして日本経済が世界の希望になる』新刊超速レビュー

久保 洋介2013年10月29日 印刷向け表示
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そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)
作者:ポール・クルーグマン
出版社:PHP研究所
発売日:2013-09-14
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相変わらずのクルーグマン節炸裂の一冊だ。

クルーグマンと言えば、歯に衣着せぬ発言で知られるノーベル経済学者。時の権力者や著名経済学者をバッサリ切り捨てる容赦ない批判姿勢は、いつも賛否両論を呼んでおり、ファンもアンチも多い経済学者である。本書でも切れ味は抜群であり、米ハーバード大学のカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ両教授をばっさり切り捨てている。

インタビューアーは国際ジャーナリストの大野和基氏。ポール・クルーグマン相手に話を上手く引き出せるのは日本では彼の右に出るものはいないという人物だ。本書は彼にとって2009年6月出版の『危機突破の経済学』に続く第二弾インタビュー本である。

このインタビューアー大野和基氏の経歴がまた面白い。東京外国語大学卒業後、米コーネル大学で化学、そしてニューヨーク医科大学で基礎医学を学んだ後、医学の道に進むのではなく、ジャーナリズムに転じた変わり者である。著名人への単独インタビューが得意で、同氏の公式HPには、サミュエル・ハンチントン教授やジョセフ・スティグリッツ教授など国際政治経済関連の著名人とのツーショットが並ぶ。マイケル・ジャクソンの父や共和党副大統領候補サラ・ペイリンの両親などとのショットも並んでおり、政治・経済だけでなく芸能ゴシップもカバーできる逸材であることが良く分かる。

本書は、そんな反骨精神溢れる気鋭の経済学者を、日本随一のちょっぴり変わった国際ジャーナリストがインタビューするというもの。この二人がどんな会話を繰り広げていたのかを想像しながら本書読むだけで、楽しみは倍増する。

本書の内容は、クルーグマンによるアベノミクス評価。基本的には大絶賛だ。それもそのはず、アベノミクスが実践するインフレーションターゲットを最初期に提唱した人物こそ、このクルーグマンである。自身が1998年の論文「It's Baaack! 」で示した方法を15年越しで実践する日本の経済政策に対し、「この政策実験がうまくいけば、まさに日本は世界各国のロールモデルになることができる」と期待を寄せている。

結局、経済政策は実行時に政治的判断が入ってしまうので、なかなか理論の善し悪しを判断しにくく、クルーグマンの理論が現実社会で上手くいくかは最後まで分からない可能性ある。ただ本書はアベノミクスの基本理論を理解するために読む入門書としては今のところ最良であることは間違いない。

本書の最後には、監修者・山形浩生氏の解説がついており、忙しくて全部読めない人にはこの解説を読むだけで大筋が理解できるようになっている。

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本書を読んで、面白いと感じたら、次はもう少し骨太の『さっさと不況を終わらせろ』を読むことをオススメする。こちらも切れ味抜群である。

さっさと不況を終わらせろ
作者:ポール・クルーグマン
出版社:早川書房
発売日:2012-07-20
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クルーグマンが提唱するリフレ派に真っ向から対立するのが『リフレはヤバい』。レビューはこちら

リフレはヤバい (ディスカヴァー携書)
作者:小幡 績
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2013-01-31
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
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