『色と配色がわかる本』カラーでちょいモテ

新井 文月2012年02月27日 印刷向け表示
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色と配色がわかる本
作者:南雲 治嘉
出版社:日本実業出版社
発売日:2012-01-06
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色の本については、HONZ朝会で頻繁に話題になっていたが、またまた面白い本を発見した。

本書は一見、図説系資料本と思いきや、脳生理学による科学的根拠に基づき、色の原理を解き明かしている。特定の色を見た時、それから引き出される生理現象、刺激部位、分泌物、効果を解説している。なので、例えば30代を過ぎて魅力をもっと出したい人には、ファッションに活用していくのはどうか。

著者によると、人間は色を光で認識しており、正確には脳が電磁波で(RGBカラー)捉えてるそうだ。行動的になりたい時は、赤の光を眼に当てれば良い。「赤はアドレナリンの分泌を促し、人を情熱的にさせる」という定番フレーズは、赤色によりアドレナリンが分泌し、循環器系が刺激され、血流を促進されるからだ。よって効果として興奮や情熱の感情が引き出される、といった流れが理解できる。なお赤は誘引性が高い色だが、それ自体に危険を脳に知らせる力は無く、危険かどうかは自分で判断するらしい。

いかにもなタイトルと装丁なので、普通は素通りしかねない色モノ(?)かと思ったが、今迄は定番だったマンセル表色系の円環の矛盾を再検証指摘しており(ゲーテは赤紫を追加し、円環をやや強引につくりあげている)、論理に説得力がある。しかし文体自体は、そんなに固くないのがまた良い。

ちなみに白は健康になる色で、マスクや白衣によって傷を治す役割があったり、逆に黒服は病気を引き起こす事を知ったのもここ数年だ。思わず、スーツもコートもネクタイも靴も黒かい!という人を見ると、体調を気にかけてしまう。しかし服を着た場合と、インテリアとして考えた場合のケースでは色の効果は異なる。

配色の世界では、例えば青が好き、といっても青だけに反応はせず、多数の配色の中にある青が好きなのである。大事なのはカラーバリエーションだ。それは後半部分でわかり易く解説されている。青を選ぶ人は「感性豊か」「経営者向き」「自信過剰」などの性格があげられているが、面白いのはインテリアとして配色する場合は違う効果が生まれる。

※インテリアとしての青の効果は「下痢止め」!便秘がちな人は「黄色」。少し解消されるはず。

Fuzuki Arai

(c)Fuzuki Arai

■色の効能についてはこちらを参照。

色は極めて身近な存在なので、根幹をなす基礎を一度身につけてしまえば、あらゆるケースに対応できる。インテリアを考える時、ポスターを創る時、コーディネイトを考える時、スマフォのアクセサリー選びにもバッチリだ。その時、色を感覚で捉えていると、選ぶ基準が曖昧で、決定までに時間がかかる。いつでも自分の頭の中に、効能付の色パレットがあれば部屋の模様替えをする時も迷わなくなる。色の名前をいくら覚えても、知恵として色彩を活用できなければもったいない。

たとえば夫婦の買物で、家具を購入する場合、一方は感覚で伝えるのに対し、一方は「ベージュの効能は安心できる色で…」ともっともな理論で言えれば、勝ったも同然だ。でないと相手の強い主張に負けてしまうのは、私だけではないはずだ。判断に迷ったり、疑問に感じたりすることがある“配色”を本書で理解しておけば、正しく選択する事ができる。面白いのは最近の風水で、「紫」や「ピンク」をとり入れているのは陰陽五行説の対象外となるそうだ。究極的には美しい景色も、配色の使い方と面積バランスによる。人が見て美人だな、とかイケメンだ、思うのも極論は配色だ。

学生時代、私はデザインの時間よくドイツ人の教授に怒られていた。私が感覚で色を配置しているのに対し、何故その色を使用するのか、意図が無かったのでよく怒られた。彼はゲルマン理系ドイツ人の代表みたいな方で、デザインの世界で意図しない配色はありえないとの事だった。それ以来、色彩については今でも興味を持って学べているので感謝している。しかし、どうもパワーポイントの資料で、無駄に色数が多いのは苦手だ。

色彩検定が役に立ったという声を何人からも聞く。生活に彩りを加える楽しみが増えるからだ。本書も、同程度に役立つのではないかと個人的に思っている。暖かい色は気持ちが安らぐ効果があるか?などの問題が色彩検定には出題されているが、本書では、なぜ安らぐのか?について検証している。これを本書では色彩心理ではなく、色彩生理と呼んでいるが、それは眼ではなく脳で見ているからだ。森林浴を例にあげれば、緑を見ると疲れが癒される。「緑は人のストレスを解消させるホルモンの分泌を促す」など、最先端の色彩学では、科学的根拠に基づいた研究が進んでいる。これらを学べば、きっとこれからの生活に大きな武器になること間違いない。

カラーで¥1,600の入門編だが、部屋の模様替えや、オーディオ選び、今日着ていく服など判断が楽しくなるので、ぜひ購入して色の世界を知ってほしい。食事の前に5分~10分見るだけで満腹感を抑えれるダイエット効果のある色も、現在試してみようか検討中。また心理/信用のカテゴリでは「好きな人に告白したい」なんて日常のシーンで使えるエッセンスも満載なので、ちょっと占いとかラッキーカラー的な領域になるかもしれないが、実践した方は効果のほどを教えてください。

===【こちらもオススメ】===

ここからHONZ「色」系ラインナップ。「人はピンクで若返り。白い部屋が美人をつくる」色彩生理についての効能が多く書かれている。トリビアが多いので、感動しっぱなしだった一冊。安いし、小さく持ち運び易いのでグッド。

色の秘密―最新色彩学入門 (文春文庫PLUS)
作者:野村 順一
出版社:文藝春秋
発売日:2005-07
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「ウグイスてどんな鳥だっけ」の鶯色や、ローズレッドとワインレッドの違いも一発でわかる。写真がとにかく美麗なので、眺めているだけでも価値ある本。

日本の色・世界の色
作者:
出版社:ナツメ社
発売日:2010-02-19
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HONZ土屋敦が今月読む本で紹介していた。日本という国は、こんなにも色彩豊かな国だったのか、と思える本。染織史家が全国を各地をめぐり、古代から伝わる「紫草染の技法」などを紹介した紀行エッセイ集。

色紀行―日本の美しい風景
作者:吉岡 幸雄
出版社:清流出版
発売日:2011-12
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もしかしたら配色の最終進化系かもしれない。標識などに代表される、世界中にちらばるピクトさん(ピクトグラム)を集めた決定版。頭を打ったり、落下したり、感電したり、と身体を貼ったピクトさん達を紹介する、すこぶる愉快な本。

ピクトさんの本
作者:内海 慶一
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社
発売日:2007-04-20
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
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