『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』少女たちを守れない社会に、未来などない!

東 えりか2015年08月06日 印刷向け表示
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子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち
作者:黒川 祥子
出版社:集英社
発売日:2015-06-26
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 注:文末にある映像は「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会事務局」からお借りしたものですが、衝撃を受ける方が多いと思います。落ち着いた場所でご覧ください。

子宮頸がんワクチンは、2010年11月26日に成立した「ワクチン接種緊急促進特例交付金」により「公費負担」となり、ほとんどの自治体で接種は無料となった。対象は小学6年生から高校1年生の女子のみ。この年齢が選ばれたのは、性交渉の経験のある人は効果が期待できないからである。製薬会社の説明文書に明記されているのだが、接種した医療機関でその説明はなく、そのため多くの成人にも接種された。

保護者である母親は「これを打てば、一生子宮がんにならなくて済む」と信じ同意した。2011年4月以降、接種対象者には自治体や学校から接種を促す通知が繰り返し配布され、中学入学と同時に打ったというケースが目立つ。役所や学校からの通達であれば、安全であると信じるのは当たり前だろう。

2013年3月28日には子宮頸がんワクチンの定期接種が国会で決定、4月から実施された。しかしここで激烈な副反応の報道が出た。被害者は拡大し、2か月後の6月14日には積極的勧奨の中止が発表される。接種者数は約338万人に及んだ。
*副反応とはワクチン接種によって起こる免疫付与以外の反応、つまり効果以外に起こる症状で、薬剤投与における副作用とほぼ意味は同じ。

良かれと思って受けさせた母親のくやしさと憤り、自責の念はいかばかりであるか。
本書は6組の被害者である母娘の日常と症状を、詳細に報告したルポルタージュである。マスコミの報道で映像を見た人も多いだろうが、彼女たちの苦しみは想像を絶していた。スポーツが好きで成績優秀、学校を休んだことのない少女たちだったのに、このワクチンによって将来を奪われるかもしれない恐怖と闘っている。その上、政府や医学関係者からの心無い仕打ちには、体が震えるほどの怒りを感じる。

ある少女は15分おきに不随意運動と呼ばれる痙攣のひどいものを起こす。母親が馬乗りになって、怪我をしないように抑え込む。頭痛がひどく、痙攣があまりに酷いため股間節が肉離れを起こしている。やがて彼女は嚥下障害が起こり、口から食べ物を摂ることがことができなく待った。

バレーボールの選手だった少女は、眼球振盪(目玉がぐらぐら左右に揺れる)が起こり物が見えにくくなった。やがて足に力が入らなくなり寝たきりとなり、手足の麻痺も起きた。

剣道部でレギュラーだった少女は、手足が動かなくなったのちに記憶障害となる。発作が起きると今までのことを全部忘れてしまい、自分の名前も母の顔も分からない。その学校で副反応が出たのはひとりだったので、教師から陰湿なイジメを受けた。

そんなにひどい症状でも、検査をするとどこも悪いところが見つからないため、精神的なものだと断じられ、心療内科や精神科を勧められてさらに彼女たちは傷つくのだ。根本的な治療法は見つかっておらず、対症療法で症状の軽減に努めている。読んでいる時もそうだったが、今、この文章を書いていても涙が出る。

各章の間に、専門家や被害者の会をまとめている政治家、推進派、反対派の医師、厚労省への質問状などへ、著者の黒川祥子が丁寧なインタビューを行っている。その中には、スタンスは被害者の側に立ち、原因を究明し救済するとは言いながら、政府の決定に唯々諾々、いや積極的に加担している医療従事者がいることに驚かされる。ひとりも患者を見ていないのに、いまだワクチンを推奨しているのだ。

実は子宮頸がんワクチン導入には裏取引があったのではないか、ということは前々から囁かれていた。本書ではそれについて調査していないが、薬害エイズの例をとるまでもなく、なんらかの理由で導入が急がれたのは想像に難くない。なにしろこのワクチン、説明書にも明記されているが、発がん性が疑われるウィルス15種類のうちの2種類にしか作用せず、予防効果は10年しかない。そして驚くべきことに、このワクチンによって子宮頸がんが減ったという実績(エビデンス)はないと厚労省健康局長が国会で答弁しているのである。

中学生がこのワクチンを打ったとして、効果が期待できるのは20代半ばまで。では全国で10代から20代での死者はどれくらいいるかというと、10代で0人、20代で24人(2009年全国人口動態データ)だけなのだ。子宮頸がんワクチン被害者連絡会のHPによると、2013年3月25日設立以来、1100件を超える問い合わせあるという。副反応が出るまでの時間がまちまちであるため、体調の不良がワクチンのためであるとことを知らない人もいるらしい。

ただ、この症状を治療するため、そして解明するために意欲的な研究機関が続々と名乗りを上げている。2015年7月04日に子宮頸がんワクチンの副反応は、免疫遺伝子が障害に関与している可能性があることが厚労省研究班(代表・池田修一信州大教授)によって発表された。この研究結果は、今まで「副反応は精神的なもの」と門前払いを受けていた被害者たちにとって大きな心のよりどころとなるだろう。

本書に登場する被害者少女たちは、自分の身に降りかかった理不尽な苦しみと闘いながら、これ以上被害を拡大させないためにと、闘い続けている。

「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」のHPはこちら


 

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