『バーフバリ 王の凱旋』勝手に絶叫上映 in HONZシヴァ神による試錬がHONZに襲いかかる!?

2018年6月12日 印刷向け表示
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もはや「バーフバリ」のレポートなのかHONZメンバーのキャラクター紹介をしているのか分からない気持ちになってきましたが(汗)、いよいよ本レポートもクライマックスです!

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HONZメンバーにいろんな形で遮られてきましたが、映画に集中しようとした矢先、「●×▲△□〜・・・」となんだか判別できないお経みたいな声が…。

成毛眞が「俺もテルグ語で話せそうだわ」とシャドーウィングにならないシャドーウィングをしていたのでした。

ちなみに成毛眞はこのあとも“決め”の場面で「成駒屋!…とか声をかけたくなるよね〜」とつぶやいてました。そう、バーフバリには「見得を切る」場面もたくさんあり、歌舞伎と似ているという声も多くあがっているようです。同時に水戸黄門とも重ねてみられることがあるそうですが、昔、ぬいぐるみに、助三郎と格之進という名前をつけたほど水戸黄門が好きだった私にはたまらない話題ですね。

さてさて、ノリノリの成毛眞が急に、「ちょっと、耳の近くで歌わないで!」と注意した相手は隣に座っていた東えりか。「つい声を出したくなって」とちょっと照れくさそうに応える東えりか。普段、アイドルとかには興味がなさそうだけど、バーフバリには心を掴まれてしまった!?

…と思いきや、「私、この役やりたい」とつぶやいたのはシヴァガミ。マヘンドラ・バーフバリの育ての母であり、マヒシュマティ王国の国母でもあります。

この人物ですね↓

©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

バーフバリたちの命運を左右する重要人物ですが、言葉を発するより「目で語る」ことが多いのも注目ポイント。「あの目がやりたい。あの目のメイクをしたい…」と東えりかが何度もつぶやいていたので、鑑賞会第2弾が開催される際には、きっと、シヴァガミメイクで登場することでしょう。

ちなみに私アーヤのときめきポイントだった1つが、バーフバリに出てくる女性たちの強さ。

アマレンドラ・バーフバリの妻であるデーヴァセーナは弓の達人。マヘンドラ・バーフバリが恋に落ちたアヴァンティカも、他の男性たちを差し置いて、重大な任務を任命されるほどの剣と弓の使い手。

アヴァンティカ ©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

美しく、気品があり、信念も強く、簡単には動じない女性たちの姿は、清々しく憧れの念も湧いてきます。
(とはいえ、HONZの女性たちも強いので、「ちゃんと裏をとらないなんてバカねぇ」「ここで言わなくてもいいのに。TPOわきまえないと」などと映画の女性陣にツッコミを入れまくっていました。)

ここで剣と弓に関するバーフバリ豆知識 by 沖田さん

インドでは弓が一番、位が高く、剣が一番低い。弓→棍棒→剣の順に評価される。

名場面の一つである3本の矢を射るシーン。マハーバーラタにも、アルジュナという人物が3本の矢を使うシーンがある。

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2011年3月にシリアを訪れた私は、その後、内戦(現在はほぼ代理戦争)に飲み込まれていくシリアの様子をSNSやドキュメンタリー映画で目にしてきました。一般人も武器を手にし、武力に飲み込まれ、命を奪われていく現実を目にしていると、わざわざフィクションで人が戦いあう様を目にすること、それを「おもしろい」ものとして見ることに大きな抵抗がありました。それが前編冒頭で書いた「アクション映画を見ない」一番の理由です。

バーフバリも戦闘シーン、殺戮シーンは大量にあります。むしろそれが大半を占めています。ただ、現代の銃や爆弾、核兵器など「相手の顔も見ない、自分の手も汚さない」殺し方と違い、自分自身が汗水流して鍛えた力で、相手の命の躍動も感じながら戦う。どちらの武力も肯定したいわけではありませんが、現代の紛争に“慣れ”てきたからこそ、かつての戦のあり方に、(語弊を恐れずにいえば)ある種の“美学”を感じました。見た人には分かる下のシーンなどはその最骨頂かと思います。

©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

また、敵方のバラーラデーヴァは、自ら手を下さずに、家臣たちをうまく騙して「殺させる」卑怯さが強調して描かれている一方、バーフバリは親子ともに、腕力だけでなく知力を使った作戦で勝利を手にしていくのも印象的です。

沖田さんによると、マハーバーラタに登場するヴィシュヌ神の化身・クリシュナは悪戯者なところがあり、バーフバリが知恵を使って戦うのは、クリシュナっぽさがあるそうです。

ちなみに、バーフバリ、バラーラデーヴァともに、筋肉がCGなんじゃないかと思うくらい尋常でないムキムキ具合なのですが(特にバラーラデーヴァの背筋シーンは怖いくらい…)、数ヶ月間、トレーナーのもと、毎日40 ~50個の卵白と鶏肉500gを中心とした朝食を食べ、5時間に及ぶトレーニングを重ねて肉体改造を行ったとか…。卵40〜50個の卵白って…想像つかない…。

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はてさて、いろいろな紆余曲折と脱線(?!)がありながらも、無事に『王の凱旋』を見届けたHONZメンバー。エネルギーを出し切って、若干放心状態です。

今回が初見だった麻木久仁子は、「ぐったりした…。達成感があるわ。バーフバリが圧倒的にかっこいい!」とつぶやいたあとに、「神話の流れを見るとすごく面白い。もっと勉強してみたくなった!」と新しい火が灯った様子。

東えりかが「ギリシャ神話ともどこか似ていそうね」というと、沖田さんが「マハーバーラタがギリシャ神話と似ているという論考が、ちょうど国際神話比較学会で発表されたばかりなんです!」と興奮気味にリアクション。

すでに当初の退室時間を越えつつも、このあとしばし、神話トークが繰り広げられたのでした…。

このレポートでも書ききれないくらい沢山あった沖田さんのマハーバーラタ×バーフバリ論考は、2年後くらいに一般向けに出版されるだろうとのこと。今から待ち遠しい!きっとそのときには、HONZのバーフバリ信者たちがこぞって書評を書くことでしょう。皆様もそのときまでお楽しみに!!

ともすると、ただの「アクション映画」で終わってしまってもおかしくない『バーフバリ』に、もっと深遠な見方を教えてくださった沖田さん、本当にありがとうございました!

そして、3ページにわたってお読みいただいた皆様も、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
 

マハーバーラタの神話学

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ユリイカ 2018年6月号 特集=『バーフバリ』の世界 ―インド映画と神話の豊穣―

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