『ドイツのキッチン・ルール』 新刊超速レビュー

2012年6月13日 印刷向け表示
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ドイツのキッチンルール : 収納・掃除・調理法まで、マネしてみたい18のお宅

作者:久保田 由希
出版社:誠文堂新光社
発売日:2012-05-16
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本日は土屋敦が『ナチスのキッチン』をレビューしている。仲間内ながら素晴らしい書評である。しかも本書で言及されている料理を手作りし、その写真を掲載するという前代未聞の所業である。他のHONZメンバーがこの実践主義に感化され、村上浩がマスクを被ってリングに上がったり、鈴木葉月が人生これ勉強の旅に出発したり、など無謀をしないことを祈るばかりである。栗下直也だけはまず実践があって書評につながっているので心配はない。

と、本書は間違いなく主婦向けの本であろう。なぜか買ってしまったのである。なにしろ副題は「収納・掃除・調理法まで、マネしてみたい18のお宅」である。3人以上で暮らすキッチン、2人暮しのキッチン、ひとり暮らしのキッチンの3章建て。写真満載だが、日本人のセンスのよい人が使うキッチンのほうが良くね、という感じがしなくなくもない。そもそも、ドイツ人に上手い食事を作りたいという本能があるのだろうか、という感じがしなくなくもない。

「ゆっくりと過ごす週末のブランチ」というキャプションが付いた写真には、レーズンパンとカップに入ったままのヨーグルトとジャムとチーズがテーブルの上に乗っているだけだ。てか、これブランチなのか?冷蔵庫のなかのものそのまま出してきただけじゃん、という感じがしなくなくもない。キッチンの本なのだから、キッチンさえ紹介すればいいというすがすがしい論理であろうか。このあたりがドイツ的な感じがしなくなくもない。テクマクマヤコン。

18のお宅で使われている鍋は「シリットの圧力鍋」「ベルンデス」「フィスラー」「WMF」「ル・クルーゼ」「エバトリオ」「シュルテ・ウーファー」など。キッチン家電は「シーメンス」のポルシェデザイン・トースター、おなじくシーメンスの「パンスライサー」、「ブラウン」のミキサー、「フィリップス」の電気ケトルなど。デザインがドイツ合理性の塊のようで欲しくなる。デザインも食事も生活もミニマリストであるドイツ人こそが、もっとも真剣に地球の持続可能性を考えているのはうなずける。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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