現在進行中の天文学についての本である。1995年以来、太陽以外の恒星系での惑星の存在が続々と確認されているという。本書によれば、確認された惑星は太陽系のそれとかけ離れた類型もあるというのだ。
ホット・ジュピターという呼称がついた惑星の類型がある。ペガサス座51番星系で第二番目に発見された惑星は質量が木星の0.46なのだが、なんと公転周期は4.2日だ。当然、恒星からの距離は短く0.051天文単位しかない。ちなみに水星の軌道は0.39天文単位だからこの惑星は水星の1/8の軌道を回っていることになる。
エキセントリック・プラネットという類型もある。エリダヌス座イプシロン星系で第二番目に発見された惑星は木星の0.86倍の質量をもちながら、軌道離心率は0.61とまるで彗星のような楕円軌道を描く。
著者はこのような惑星を紹介しながら、太陽系とこれらの惑星を持つ恒星系がどのように形成されたかを説明する理論について語る。そして最後には銀河系に存在するであろう地球型惑星の数を推定してみせる。
この本はあくまでも、天文学における太陽系外惑星発見ブームの中間報告である。これまでに発見された惑星数は100個強である。この研究が進めばさらに面白い発見や仮説が出てくるだろう。5-10年後が楽しみである。本書はこの話題が将来ホットになったときに、以前から知っていたと胸をそらすために読む本であろうか。
1967年にパルサーが発見されて中性子星の存在が確認された、それを受けて同年ラリー・ニーブンが『中性子星』を、1980年にはロバート・フォワードが『竜の卵』というSFを発表した。新しい天文学上の発見は新しい小説も生み出すはずだ。