【連載】『家めしこそ、最高のごちそうである。』
 レシピ④:みんなの集まる家呑みで、全員が満足する料理。豪華なちらし寿司

稀代のジャーナリストが語る、家庭料理の極意。「家めし」の美味しさを追求していったら、答えはシンプルなものへと辿り着いた。全12回に渡った連載も、本日で最終回。豪華なちらし寿司で、ぱぁっと打ち上げちゃいましょう!

たまには人を呼んで、自宅で家呑みをするのも楽しいですよね。そんなときの〆に、楽しいちらし寿司を出して見ましょう。見た目が豪華なので、必ずや驚かれるはず。

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とはいえ、つくり方はとくだん難しくありません。

用意するのは刺身のあれこれ、米、卵、三つ葉、いりゴマ、刻み海苔。

まず刺身を「漬け」にしておきます。スーパーで切って売っている刺身だと少し大きいので、半分ぐらいに細く切り、ボウルに全部ぶち込んで、醤油をかけまわして軽く混ぜておきましょう。イクラなどの魚卵系は一緒に漬けると見た目が良くなくなるので、別にしておいたほうが良いかな。

ご飯を炊きます。炊飯器でも、ル・クルーゼでも。鍋で米を炊く方法は書籍の第2章で紹介してますから、そちらを参照してください。すし飯の場合、いつもより水は少なめにしましょう。3合なら、水も3合ちょうど。また、もし自家精米器を持っていたり、分づき米を使っているのであれば、ぜひ「七分づき」のお米ですし飯を試してみてください。炊き上がりのぱらりとした感じが、けっこうすし飯に合うんです。

さて、お米を炊いてる間に、すし酢を用意します。 これも超かんたん。3合のすし飯だったら、酢大さじ六、砂糖大さじ一、塩小さじ一。これだけを全部よく混ぜて溶いておく。

ついでいり卵を用意します。卵を3つほど溶いて、軽く熱したフライパンにあけ、箸でぐるぐるとかき回します。あまり火を入れないでつくるほうが見た目はきれいですが、まああまり気にせず適当に、できあがったら溶くのに使ったボウルに戻して冷ましておきます。

三つ葉は刻んでおきます。三つ葉のかわりに、菜の花や小松菜などの葉物野菜を使うのも美味しいですよ。この場合は、さっとゆでて冷水にとり、ぎゅっぎゅっと絞って水気を抜いて刻んでおきます。水分はくれぐれも減らしておくことね。

さて、すし飯が炊き上がったら、十分ほど蒸らしたあとに、すし桶にあけます……といっても、すし桶なんて持ってる人は少ないでしょうから、大皿でじゅうぶん。ご飯を全部皿にあけたら、すし酢をかけまわします。

このあとは扇風機などで風をあてて冷ましつつ(扇風機がなければうちわで、それもなければ雑誌や新聞で、雑誌や新聞を取ってないというのであれば、本とかまな板とか板状 のものならなんでも)、しゃもじで刻むようにご飯を混ぜます。こねたり練ったりしないこと。まあそんなに必死にやる必要はありません、ご飯全体のあら熱がとれればそれで大丈夫。

しばらく置いておいて冷まします。濡れたふきんなどかけておくと、乾かなくてよいですね。

冷めたすし飯の上に、いり卵、三つ葉、いりゴマをまんべんなくのっけて、もう一度軽くしゃもじで混ぜ合わせます。

漬けにしておいた刺身をのせ、刻み海苔を散らして完成。 

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豪華だけれど、意外にかんたんに作れるちらし寿司。お花見の席で披露したら驚かれたことが。

見た目はど派手、でも味はじんわりと滋味深いちらし寿司のできあがりです。
 

佐々木俊尚  作家・ジャーナリスト。 1961年兵庫県生まれ。早稲田大政経学部政治学科中退。毎日新聞社などを経て、フリージャーナリストとしてIT、メディア分野を中心に執筆している。忙しい日々の活動のかたわら、自宅の食事はすべて自分でつくっている。妻はイラストレーター松尾たいこ。「レイヤー化する世界」(NHK出版新書)、「『当事者』の時代」(光文社新書)、「キュレーションの時代」(ちくま新書)など著書多数。

簡単、なのに美味い! 家めしこそ、最高のごちそうである。

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