大きな声では言えないけれど、誰もがみんな疵を持つ。ああ、こんなエピソード、こんな記憶。
もしこの体験が無い人は幸いである。できればこの先、一生、味わうことの無からんことを。
だが、人間の尊厳をかけた戦いに敗れた時、人はまた一つ大きくなるのか。いや、一皮むけて違う人生に踏み出すきっかけになるかもしれない。
私の場合、更年期障害のひとつだったのではないか、と推測する。最寄駅から自宅までのトイレマップを作ったくらいだ。「過敏性腸症候群」の症状はこうだ。
月に3回以上、おなかが痛くなって、トイレに駆け込むと、下痢便かコロコロと硬い便が出る。排便すると楽になって普通に生活できる。これが数ヶ月以上、多くは何年も続いている
本屋が鬼門だった。過去「青木まりこ現象」とも言われた珍しくない症状だ。本屋で発症すればいいが、買ってから10分後ぐらいだと悶絶した。
本書では悲劇のエピソードだけでなく、医師からのアドバイスが付いている。男性より女性の方が多いというもの、初めて知った。女同士でも「うんもれ」について語ることはほとんどないからだろう。もっと早くに知りたかった。だから困っているあなたに知らせたい。