『ドードーをめぐる堂々めぐり 正保四年に消えた絶滅鳥を追って』絶滅の鳥、最後の一羽は江戸を旅した?

2022年1月28日 印刷向け表示
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ドードーという鳥を知っているだろうか。『アリスの不思議な旅』に出てきた変な鳥を思い浮かべる人、あるいは「ドラえもん」で絶滅鳥類として知った人もいると思う。鳥とは思えない太って滑稽な姿は一度見たら忘れられない。17世紀半ばにインド洋モーリシャス島で絶滅した飛べないハトの仲間である。 

ある日著者はロンドン自然史博物館のサイトで「ドードーが日本に旅をしていた」という記事を見つける。ある研究員が、ドードーが日本に送られ長崎の出島まで到着していた歴史資料を見つけ論文を書いたという。捕獲されたドードーの最後の記録だという記述にも興味を持ち、調査の堂々めぐりが始まった。

時は世界史の大航海時代の尻尾に当たり、日本は江戸時代初期、三代将軍家光の世のこと。島原の乱の後、ポルトガル船入港禁止をもって「鎖国」が完成したと言われている。

日本に来たと言いう記述は、1647年のオランダ商館長フルステーヘンが書き綴った「商館長日記」の「目録」と「会計帳簿」の中にあった。だが1938年に「商館長日記」はすでに邦訳されていた。そこには他の動物とともに「ドド鳥」の記述がある。専門が違うと世界的な発見も見逃してしまうのだ。

このドードーがどうなったのか、今回の調査では判明しなかったのは残念だ。

著者は更なる知識を得るために、ドードーを捕獲した痕跡や実物を模写した絵を求めヨーロッパ各地を旅する。実際の骨格標本を目にしたとき、この鳥が本当にいたことをリアルに感じ取ることができたという。

数年前、私は徳川慶喜の孫にして異色の鳥類学者、蜂須賀正氏評伝『絶滅鳥ドードーを追い求めた男』を読み、この鳥に強い憧れを持っていた。恐竜の末裔は鳥類だという最近の研究結果が納得できるフォルムを持つドードー。絶滅までの運命の軌跡を一緒に味わってほしい。(週刊新潮1/27号より転載)

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