
出口 治明
-
『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』 by 出口 治明
フェデリーコ(フリードリッヒのイタリア語読み。彼が愛したプーリアでは、今でもそう呼ばれているので、ここではフェデリーコと呼ぶ)のことを識ったのは、ブルクハルトが最初だった。学生時代の頃、愛読していた世界の名著(中央公論社)からである。彼のこと……more
-
『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』 by 出口 治明
今年は小説が豊饒だ。僕と同年、定年退職した65歳のハロルド・フライのもとに、ある日、1通の手紙が届く。かつての同僚のクウィーニー・ヘンシーからだ。彼女はがんで死にかかっているという。ハロルドは、返事を書き、ポストに向かいはしたものの、どうして……more
-
『フラクタリスト~マンデルブロ自伝~』 by 出口 治明
2013年12月21日日経新聞の「私の履歴書」を長年、愛読している。やはり、本人が直接書いた物が、面白い。現在は、コトラー博士が連載中で、毎日、楽しみにしているが、本書は(尊敬するコトラー博士には申し訳ないが)桁外れに面白い。マンデルブロ集合の発見者、偉大なフラク……more
-
『デモクラシーの生と死』 by 出口 治明
2013年12月19日刺激的な本だ。一言でいえば、デモクラシーの世界史である。上下2巻2段組みで900ページに迫る労作だが、知らないことがたくさん書かれており、読者を飽きさせない。本書は全体で3部に分かれており、上巻では「集会デモクラシー」と「代表デモクラシー」が……more
-
『罪人を召し出せ』 by 出口 治明
いつかは読まなければいけない、誰しもそういった本のリストを持っているだろう。ヒラリー・マンテルの「ウルフ・ホール」は、この2年ほど、僕の読むべき本リストのトップページに、太字で書き込まれていたのだが、読む機会が訪れないうちに、先に続編を読む羽……more
-
『いまを生きるための政治学』 by 出口 治明
2013年12月05日著者の主張には、正直言って、多少の違和感を覚える。例えば、著者は政治的な立ち位置を左のように図示する(p.89)が、私見では、むしろ下のように整理したいところだ。 …more
-
『自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』 by 出口 治明
2013年11月28日知的興奮を覚える、とても面白い本だ。冒頭から(第1章)「科学者はなぜ魚という群の実在性を否定するのか?」という挑戦状が叩きつけられる。著者は、この本を書くことによって、この一見奇妙に見える問いに答えようと努める。何のために? …more
-
『インダス文明の謎: 古代文明神話を見直す』 by 出口 治明
2013年11月25日僕は「歴史オタク」を自認しているけれど、インダス文明については、「文字が未解読である」「広域文明だった」「王墓がない」ぐらいのイメージしか、すぐには思い浮かばない。確かに、4大文明の中で、インダス文明は最も言及されることが少ない文明だ。それに……more
-
『絶倫の人: 小説H・G・ウェルズ』 by 出口 治明
私たちは、「バーティ」あるいは、「H.G.」と呼ばれたH.G.ウェルズについて、何を知っているのだろうか。ジュール・ヴェルヌと並ぶ「近代SF小説の祖」(原子爆弾さえ予見した)であり、世界政府を夢見た理想的社会主義者(国際連盟でも演説した。また……more
-
『新・ローマ帝国衰亡史』 by 出口 治明
2013年11月13日5月に出版されたのに、新書なので「薄くていつでも読める」と、ついつい積ん読本になってしまっていた。こんなに面白い本なのに、申し訳ないことをした、という自責の念でいっぱいである。 …more
-
『ヤルタからヒロシマへ: 終戦と冷戦の覇権争い』by 出口 治明
2013年10月29日本書は、日本の運命を決したヤルタ会談(1945年2月)からポツダム会談(7月)へ、そして原爆投下までに至る第2次世界大戦末期の激動の6カ月を再現した物語である。新しい発見はないが、関係者の証言が寄木細工のように丁寧に積み重ねられており、読者は……more
-
『名もなき人たちのテーブル』 by 出口 治明
2013年10月22日9部門のアカデミー賞を受賞した名画「イングリッシュ・ペイシェント」の原作者であるオンダーチェの新作なら、これはもう読むしかあるまい。そう思って手に取ったが、想像を遥かに超える素晴らしい佳品で、すっかり嬉しくなってしまった。 …more
-
『ライス回顧録 ホワイトハウス 激動の2920日』 by 出口 治明
2013年10月20日上下2段組みで650ページを超える分厚い本だ(訳者も4名で分担している)。しかし、どうして読まずに済ませることができようか。これは、9.11、米軍のアフガニスタン侵攻、イラク戦争、北朝鮮の核問題、リーマン・ショックと21世紀初頭の激動の日々を……more
-
『醤油と薔薇の日々』 by 出口 治明
タイトルに魅かれて読んでしまった。誰でも思うはずだ、「酒と薔薇の日々」に決まっているじゃないか、と。それを、よりによって「醤油」とは。 …more