
仲野 徹
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『精子提供 : 父親を知らない子どもたち 』 新刊超速レビュー
2012年08月03日おもしろいノンフィクションを紹介するという『HONZ精神』にのっとり、手に取るや置くにあたわず一気読みした本をレビューする、というのを原則にしている。が、今回だけは例外である。内容の重さに、何度も何度も天井を仰ぎ見なければならなかった。しかし……more
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素晴らしき人体実験野郎たちに乾杯! 『世にも奇妙な人体実験の歴史』
2012年07月11日「あれ?同じ本が立て続けにHONZに紹介されてる。なにかのミスか、はたまたHONZメンバーの共食いか。」と、思われた方もおられるやもしれませぬ。しかし、じつはどちらでもないのでございます。不肖、巻末に解説を書かせていただいたご縁から、文藝春秋……more
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獄中の老スナイパー 『警察庁長官を撃った男』 新刊超速レビュー
2012年07月05日驚愕の一冊である。老スナイパーの名は中村泰(ひろし)。1930年生まれのこの男、岐阜刑務所に服役中。しかし、この本のタイトルになっている1995年の国松警察庁長官狙撃事件による服役ではない。その罪状で訴追され、「救国」のために狙撃したことを世……more
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『わたしが出会った殺人者たち』 新刊超速レビュー
2012年06月26日二日連続で、殺人者本のレビューである。しかし、この本、すこしも「超速」レビューになっていないのである。すみません。遅れたのにはいささかの理由がある。以前、沢木耕太郎訳、というのにつられて、『殺人者たちの午後』という本を買った。英国での殺人者た……more
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”史上最強の女犯罪者” 『別海から来た女』
2012年06月25日「これは、私の書いた『東電OL殺人事件』を超える事件だ」と帯に書く佐野眞一、怒りに燃えた渾身の一冊である。その怒りが読む側にもひしひしと伝わってくる、死刑判決も記憶に新しい「首都圏連続不審死事件」、毒婦・木嶋佳苗についての本である。ワイドショ……more
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師匠のために死ねますか? 『師弟』
2012年06月10日日々、喜怒哀楽の中で、笑ったり泣いたりしながら生きているが、泣き笑いすることはめったにない。そのためだろうか、私だけかもしれないが、落語や演劇を見て、泣き笑い状態に陥るのがものすごく好きである。しかし、なかなかそのような芸を見せてくれる芸人さ……more
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そこにしかないものの魅力 『京都の中華』
2012年06月06日レンズもないのに、小さな穴を通った景色は、あわい色合いでほんのりと確実に像を結ぶ。でも、じっとしているものしか写せない。ピンホールカメラをはじめて知った時、不思議でたまりませんでした。この本は、中華料理、という、京都にとっては小さな針穴、そし……more
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天下無用のお手引き書 『武士マニュアル』
2012年05月30日世にマニュアルはあふれている。Amazonで「マニュアル」というキーワード検索をしたら、1万8千件近くもヒットした。世間の人たちはかくもマニュアルを欲しているのであり、あまたあるマニュアルたちも、その人達に役立とうとがんばっているのである。し……more
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生き方はサルに訊け! 『サルたちの遺言 -宮崎県幸島・サルと私の六十五年-』
2012年05月15日徒然草ではないが「すこしの事にも先達はあらまほしきこと」なのである。日々の生活、最後は自分で納得して決断していかなければならないけれど、迷ったり悩んだりした時は、つい誰かに教えてもらいたくなる。誰にたずねることができるか、で、その人の人生は大……more
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江夏豊の『エースの資格』
2012年05月03日プロ野球のエースといえば、誰を思い浮かべられるだろう。古くは沢村、そして、金田、村山、江川、鈴木、佐々木、野茂、ごく最近ではダルビッシュ。年齢と時代によってそれぞれに自分のエースがいるに違いない。わたしにとってのエースはなんといっても江夏であ……more
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不丹 賛嘆 探検譚 『未来国家 ブータン』
2012年04月23日なにをかくそうブータン(漢字表記は「不丹」)のファンである、といってもたいしたことはない。2年前、ブータンがブームになる前に、「そうだ、ブータン行こう」と訪ブーし、すっかり魅せられてしまったのである。それでも縁あって、岩波書店の「科学」の「ブ……more
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『文人悪妻』 新刊超速レビュー
2012年04月16日知る人ぞ知る「文人」シリーズ第三作である。『文人悪食』、『文人暴食』で、多くの文人を「食」の観点から描き出すという斬新なアイデアですさまじいまでの能力を見せたあの嵐山光三郎氏、こんどはどうくるかと思ったら、なんと『文人悪妻』である。そして嵐山……more
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『女中がいた昭和』 新刊超速レビュー
2012年04月05日まずは成毛代表のお許しをちょうだいいたしまして、ここにご挨拶申し上げたく存じます。HONZファンの皆々様から「新刊ちょい読み」という名でかわいがっていただいてまいりましたが、「ちょい読み」と申しますと、一字違いの「ちょい飲み」みたいな腰掛け感……more
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『ボクのつぶやき自伝:@yojikuri』を連続ツイートでレビューする!
2012年03月24日「おはようございます。今日はこれから久里洋二さんの『ボクのつぶやき自伝:@yojikuri』について連ツイします。あっ、連ツイと聞いて、すっとばそうとしないでください。だって、リアルツイッターじゃないんですから。正しくは、バーチャル連ツイ+連……more
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『大村智 - 2億人を病魔から守った化学者』
2012年03月18日いやはやすごいのである。単に業績がすごいだけではない。スキーで鍛え上げたスポーツマンで、若い人の指導にも心をくだき、研究所の運営にも辣腕を発揮する。そして美術にも造詣が深く、設立に関与した北里メディカルセンターは絵画であふれ、現在は女子美術大……more