
山本 尚毅
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『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい
2017年06月26日図書館の来場者と本の新たな接点をつくるために、話題にならず表舞台に出てこない本に興味をもってもらうために、本に興味のない人に来場をうながすイベント企画し、あわよくば本を借りて読んでもらうために、さまざまな工夫を凝らしている。…more
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『破壊しに、と彼女たちは言う』柔らかに、じわじわと語りかけられるアンソロジー
2017年05月26日しかし、現代アートは男性優位の世界が長らく続きで、女性は傍流として位置づけられてきた歴史がある。本書で取り上げられるアーティストはすべて女性だが、フェミニズム、ジェンダー意識を煽るものではまったくない。…more
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『廃墟遺産』あったかもしれない風景に想いを馳せて読む
そこにあったかもしれない風景は、永遠に計画に関わった人たちの幻想のまま終わった。建築されずに終わったテーマパーク、建築されたが一度も使われなかった地下鉄、人が住み着かないゴーストタウンとなった都市計画、人類の輝かしい歴史として、残ることはない……more
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『消えゆく「限界大学」 私立大学定員割れの構造』差し迫る「2018年問題」、直前対策は?
大学入試センター試験の改革が着々と進んでいる。次の中学3年生が高校3年生になるタイミングであり、もう間近である。高校も大学も塾も、その準備に追われてとても大変になることは想像に難くないが、その2年前にも、大きな問題が来ると随分前から予見されて……more
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『選択しないという選択 ビッグデータで変わる「自由」のかたち』とはいえ選択は終わらない
予測ショッピングに関する実験結果が本書で明らかにされている。そこで、若者世代が示した傾向は未来への予兆を表しており、Amazon Dashの先にどんな変化が待ち受けているのかがうっすらと見えてくる。…more
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『火あぶりにされたサンタクロース』12月25日の知的興奮
なぜキリスト教は12月25日をイエスの生誕祭に設定したのか。なぜ、クリスマスに贈り物をするようになったのか?なぜ、大人は子どもにサンタクロースの存在を信じさせようとするのか?現代のクリスマスは資本主義化した社会が産みだした消費のファンタジーな……more
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『本当に住んで幸せな街』官能的な街をはかる
「結局私たちは、どんなまちに住むのが幸せなのか」センシャス・シティである。これが、本書の結論だ。官能というものさしを都市にも当ててみる試み、それが本書の核となる方法論である。従来の人気投票でも、インフラの充実度だけで評価するのでもない、もっと……more
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『英語の帝国』普及の決め手は親の不安と期待
英語教育の早期化が加速している。次期学習指導要領からは、小学校5年生から英語は正式科目となり、小学校3年生から英語に親しむ授業がはじまる。歩調を合わせるように、親の英語熱が加速している。小学校の英語必修化について、2006年には52%の親が反……more
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『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方
わたしたちは当たり前のように過去から未来への直線的で均質的な時間を生き、いつかどこか、未来の豊かさや安心のために現在を貯蓄している。しかし、そんな時間感覚は特定の場所と時代において成立しているにすぎない。一歩外には、Living for To……more
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『クラフツマン 作ることは考えることである』仕事への誇りを取り戻すための葛藤
よい仕事とは何か、長らく考えられてきた問いである。本書ではクラフツマンとその精神性の歴史的背景を理解し、今の時代と文脈でどう再解釈できるかの議論を通じて、問いと対峙していく。シンプルな問いほど答えを出すのは難しい。本書も答えよりも、問いのまわ……more
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『箸はすごい』身近すぎて知られていない二本の魅力
箸には7000年の歴史がある。 14億人もの人が箸をつかっている。しかも、ほぼ毎日である。一度ではない、ニ、三回は使う。ここまで頻繁に利用する道具はそう多くはない。箸は両手を含む数ある食事道具の中で、いつ、どこで、どんな経緯で主役の座を勝ち取……more
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やりたいからやる『これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得』
論文の数や掲載誌のインパクトを追求する一般的な研究者とは異なり、我が道、我が学問を行く在野研究者たち。制度や固定観念に囚われることのない、彼らの研究内容は独特で、鋭さと危うさを兼ね備えた魅力を持つ。しかし、研究内容にもまして、興味深いのは、そ……more
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『学びとは何か』乳幼児の言語発達から超一流の学びまで
最終章には子供用の玩具の選び方、数多ある遊びのプログラムを目利きする考え方、そして探究する子を育てるためのシンプルな鉄則に触れている。子育てのヒントを求めて、また時間の節約に最終章だけ読んでも十分な価値はある。しかし、結果として冒頭から読みた……more
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『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること』起こりそう、起こってもおかしくない、起こりうる
2016年02月26日スペキュラティヴ・デザインは単一の価値観に異を唱え、自らも単一化したイメージとして理解されることを拒否する。厄介な問題に対する「ソリューション」ではなく、物事の可能性を思索するための手段として用いる。想像力を駆使して、新しい見方を切り開くこと……more