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『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』
2018年05月18日本書『花殺し月の殺人──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』は、2017年にダブルデイ社から刊行された、デイヴィッド・グランの最新ノンフィクション、Killers of the Flower Moon: The Osage Murders……more
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『知ってるつもり 無知の科学』
2018年04月04日なぜ人は薄っぺらな主張に流され、浅はかな判断をするのか。このきわめて今日的な問いに向き合ったのが本書『知ってるつもり──無知の科学』(原題はThe Knowledge Illusion: Why We Never Think Alone)であ……more
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『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状
2018年03月07日本書の大きな特徴は、「シーン」と「音楽業界」、普通ならばどちらかの主義主張に重心が傾きそうなところで、著者が一貫して慎重にバランスをとっているところだ。それは、双方の取材対象とコミュニケーションをとっていく上で最初の段階から必要とされたスタン……more
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『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』
2018年01月28日東日本大震災についての著作はいくつもあるが、外国人記者の視点から描かれているというのが本作のもっとも大きな特徴であることは言うに及ばない。ベテラン報道記者のロイド・パリーは在日期間が22年に及ぶものの、英国人らしい客観的かつ批判的(クリティカ……more
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『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』
2017年11月07日本書を読んで私がまっさきに思い浮かべたのは、某有名CDショップが使う「NO MUSIC, NO LIFE」(音楽なしじゃ生きていけない)というキャッチフレーズだった。調べてみると、この宣伝文句が使われはじめたのは、もう2……more
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『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』教育の旅紀行
2017年10月08日ロンドンの貧困地区の中等学校で数学を教えていたイギリス人教師が、学校をめぐる旅に出た・OECD(経済協力開発機構)が実施しているPISA(学力到達度調査)で高得点をあげた国々を選び、学校を訪問する。この旅を通じたフィールドワークはユニークなも……more
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『重力波は歌う』想いを乗せて、重力波は歌い続ける
2017年10月03日重力波の初検出は、物理・天文分野での今世紀最大の発見の一つであることは間違いない。 そして、その大発見が産み出される過程において、かくも複雑な人間模様が繰り広げられてきた。重力波検出実験のように大勢で行うプロジェクトでは、そ……more
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『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方
2017年08月23日いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。これはおそらく、世のすべての親にとって切実な疑問だろ……more
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『ホーキング、ブラックホールを語る BBCリース講義』
2017年06月25日この本は2016年に放送された歴史あるBBCシリーズレクチャーでホーキングが二回にわたって話した講義録である。BBC科学ニュースの編集者であるD・シュックマンが講義の要所、要所に読者の目線での解説を付しており、本来、むつかしい内容を親しみを持……more
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『そろそろ、人工知能の真実を話そう』シンギュラリティ仮説の背後にうごめくもの
2017年05月26日2010年代後半に入って、AI(人工知能)ブームの過熱ぶりは凄まじい。とりわけ、 その中核にあるシンギュラリティ(技術的特異点)仮説は、現代のグロテスクな神話と言ってもよいだろう。本書『そろそろ、人工知能の真実を話そう』(原題は ……more
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『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』
2017年04月20日世界でもっとも経済が洗練されている国は日本──それが本書Why Information Growsの著者セザー・ヒダルゴらの開発した「経済複雑性」という独自の指標から導き出された結論だ。この経済複雑性指標とはいったい何物なのか? 経済の複雑さ……more
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『セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』
2017年03月23日著者はゲーム業界をビジネス的観点から描くことで、マーケティングや営業の現場が創造的プロセスにどんなインパクトを与えたかを、興味深いエピソードを積み重ねながら明らかにしていく。もちろん、熾烈な市場シェア争いを描いたビシ……more
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『地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録』
2017年03月10日85歳にしてなお注目されているジョン・ル・カレが回想録を書いた。それが本書である。小説執筆に先立ってかならず現地取材を敢行してきた人なので(理由を知りたければ、本書第 10 章を参照)、訪問した場所も、会った人物も多彩をきわめる。PLO(パレ……more
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『ささやかな知のロウソク ドーキンス自伝2 科学に捧げた半生』
2017年02月25日世界のトップクラスの有名人がつぎつぎとドーキンスの人生と交錯するさまは、あまりにも眩しく、 クラクラしてしまう。途方もない自慢話を聞かされているようで、ウンザリする人がいるかもしれないが、少なくともドーキンスの愛読者にとっ……more
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『クレイジー・ジーニアス 世界を変える天才は君の中にいる』
2017年02月23日どうもこれは自分にはあまり関係のない本ではないか。そう思われる方がいるかもしれない。いや白状すると、訳者自身が、簡単な紹介文を読んだときそう思い、疑問を持ちながら読みはじめたのだった。けれども、読んでいくうちに、そのわたしの反応こそが、著者の……more